童女とじじいの世界②
今晩は。今日も雨ばっかり降って洗濯できません。助けてください。
早く梅雨明けしてくれないかなと思う今日この頃です。
ストーリーですが、異世界っぽさを少しでも感じてもらえればと試行錯誤しています。きっと。
金髪童女は執事にねだって出して貰った犬とボールがで遊んでいた。
遊び方としては、童女がボールを全力で投げ、犬が取りに行き、童女にボールをくわえて持って行き、童女が嬉しそうに頭を撫でて、犬が千切れんばかりに尻尾を振る。この一連の動作を永遠に繰り返す。童女が飽きるまで続く。
「次は何をする?」
子供は、飽きっぽい。
同じことを何回も出来るが、何回かしたら新しい事を求めてしまうほどに。
「ワン!」「わん!」「one!」
3つの頭がそれぞれ一度づつ声を上げる。
真ん中の頭が、童女の襟を咥え自身の背中に乗せる。咥えられた少女は、されるがままに受け入れる。左の頭が、落ちていたボールを口の中に収納した。
犬の背中は、大きさもあり以外と乗り心地は悪くない。毛も長毛の為フサフサしていて座り心地も良い。
童女は、小さい手てで綺麗な艶のある毛を鷲掴みにして落ちないようにする。
犬は、掴まれたのを確認してからゆっくりと歩き出す。
「お〜〜〜」
童女は、自分を乗せて犬が動き出した事に驚愕の声が漏れる。
いぬは、2、3歩歩いたら速度を上げる。歩き、早歩き、駆け足、そしてダッシュ。
犬は、スピードを速くする度に少女からの声に歓喜し尻尾を大きく振り回して更にスピードを上げる。
そして、またスピードを上げた時に童女からの歓声が聞こえてこなかった。
不思議に思い速度を緩め背中を確認するとそこに童女の姿は無かった。童女は、スピードの変化について行けず振り落ちてしまっていた。
犬は、3つの頭をそれぞれ心配そうにキョロキョロと周囲を見渡す。その時の尻尾は、真っ直ぐ地面に向かって項垂れていた。
屋敷の手前に先ほど館に入って行ったはずの執事が童女を抱えて立っていた。
それを確認し、3つ首揃えて頭を下げてゆっくり、一歩づつ歩いて向かう。
犬の足取りは重く、まるで重りを背負っているんじゃないかと勘違いさせる程であった。
「おすわり」
犬が近づいて来たのを確認せず、執事の老人は一声放つ。
犬は、すぐにお座りの体制になり悲しそうに次の指示を待つ。
「何をやっているんですか?」
叱責が飛ぶ。
「危うく怪我をするところでした。お嬢様をもっと大事に扱いなさい」
犬は、クーンと小さく泣く。
抱きかかえられている少女は、怪我は無く地面に転がった後もなかった。きっと背中から落ちて地面につく前に救出されたのであろう。
「じぃじ、おこらないで〜」
童女は、助け舟を出す。
「怒ってなんかいませんよ。これは、躾です」
「でもおこってる」
老人は童女に向かって“ニコ”っと1つ笑顔お作ってみせる。
「どうです?怒ってるように見えますか?」
「うん」
即答だった。
「じぃじがおこってるときのかお」
普段気づかないが、自分が怒ってる時の顔は笑顔らしい。今後気をつけなくてはと、老人は心に刻む。
「今回は大事に至らなかったので、不問とします。今後同じことがないように努めなさい」
「ワン」「。。。」「。。。」
小さく真ん中の頭だけが返事を返す。
「返事は?」
「「「ワン!」」」
3つの頭が揃って返事を返す。
返事を聞き、抱えていた少女を柔らかい草の生えた地面に優しく下ろす。
「お嬢様、お怪我がないよう注意しお遊びください。必ずしもじぃじが助けられるわけではありません」
少女を心配しての小言を投げかける。
「だいじょうぶだよ」
少女は、語る。幼さゆえの辿々しい語りで言葉を返す。
「だって、じぃじがいるもん。だから、だいじょうぶだよ」
少女が寄せる、絶対の信頼。年端もいかない少女だからこそ、簡潔に、簡単な言葉で、真っ直ぐに、疑いもなく、信頼を言葉にする。
ニッと歯を見せるように可愛らしい笑顔を添えて。
それを見てしまっては、白髪の老人もこれ以上の言葉が出なくなってしまったようで言葉が続かなかった。
少女は小指を立てて、肘を真っ直ぐに伸ばし老人に向けて差し出す。
少女の手はとても小さかった。とても小さく、雲のように真っ白な可愛らしく、きっと取れたてのりんごより柔らかいそんな優しい小さな手を差し出す。
老人は、一挙手一投足全てをじっくり観察している。
「じぃじ!ん〜〜!!
「はて?如何なさいましょう?」
老人は、意地悪にとぼける。
「じぃじゆびきり〜!」
少女に差し出された小さな小指に怪我をさせないように優しく絡める。
「ゆびきりげんまん♪うそついたらはりせんぼんのませるぞ〜♬」
少女は歌を歌いながら、絡めた方の手をリズムに合わせて上下に揺らす。
「どんな約束ですか?」
老人は、強引に結ばれた約束の内容を確認する。
「えとね〜、アンがなにしてもおこらないことでしょ〜」
「お嬢様は、悪戯っ子ですからね〜。難しいですね〜」
まだ分からない子供に教え解くのは、年長者である、大人の役目。善悪の度合い次第では時に強く指導する必要がある。すべからくそれらを躾と呼ばれている。
主人、家来の関係であったとしても躾はとても大事だ。主人の恥はあってはならない事と、家来の恥はそのまま主人の恥に繋がってしまう。
それ故、どうしても若輩な少女の躾を年長者である執事が行う形になってしまう。
「じぃじのいじわる〜!」
「ほっほっほ♪」
少女は真っ白な綺麗な歯を見せつける。
たわいもないない、日常的な会話。いつ、どこでも、どんな時でも出来るそんな当たり前の会話が続いていた。
「あとね、あとね〜」
少女はもじもじとわずかに体をくねらせながら次の言葉とづけようとする。
一言一句漏らすまいと、老人は耳を澄ませ少女に向けて少し前傾姿勢になり聞く体制を整える。
「もいっこね。じぃじあとね。。。」
老人は、次に続く言葉を待つが返ってこなかった。
次に入ってきた音は、ガラスが割れようなそんな音が空間全体から聴こえた。
突如聴こえた擬音に合わせ視界が更に不思議なことになっている。
視界に入るもの全てがヒビが入り、場所により欠けている。
空が、館が、大地が、そして大切な少女すらも全てにヒビが入っていた。
「お嬢様ーーーーー!」
無意識に声を張り上げてしまう。老人は、咄嗟に少女に手を伸ばす。
それを見ていたひび割れた少女も手を伸ばす。
伸ばした2人の手は触れ合うことはなかった。
老人が、少女の手を掴むために伸ばした手はひび割れた空間に阻まれる。少女の手が映し出されているひびの一部分が剥がれ落ち割れて砕け散る。
女の子のくだりは書いていてとても楽しかったです。
展開などを気にしないのであれば多分、無限に書けるんじゃないかと錯覚するほどでした。
漫画の4コマなどの日常系が多いのもこんな気持ちなのかななんて思っちゃうくらいです。
それでは次回ですが、そろそろストックが尽きそうで辛いですが、また来週を予定しています。
何卒宜しくおねがいします。