最初の世界①
全世界の閲覧してくれた、目に入ってしまった人、はじめまして“スプリンクラー”と申します。
丸山くがね様の著書オーバーロードが大好きです。
オーバーロードを読まさせてもらい、自分でも書いてみたいな〜と思い今回綴らせて頂きました。
少しでも面白いと思っていただけるように頑張っていきますので、目を通して頂ければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。
「いらっしゃいませ〜」
都外某所に存在するコンビニエンスストアから接客の決まり文句が自動ドアの開閉とともに聞こえてくる。
アルバイトがレジに立っていた。
今日一日で何回口にしたのか数えるのがバカらしく感じるほど唱えた、お金がもらえる呪文。
1時間当たりの給料は、地域的に見ても高くはない。
大学生や社会人枠であればそこそこになるのではあるが、当の本人はまだ高校生なので正式な社会人より100円ほど安くなっている。
流石はコンビニエンスストアである。
たった一日で様々な人間がやってくる。
買い物をする人はもちろんだが、それ以外の人もかなり入ってくる。
bookコーナーで立ち読みする奴、店内をアホみたいに走り回るガキ、定番はトイレを借りに来る客、残念なことにウチはトイレの貸し出しをしていない。
なぜかと言うと、万引きやなどの防犯対策としてではなく、完全な、性悪な店長による采配によってだ。
コンビニに行けば助かると藁にもしがみつく思いの遭難者達の絶望する顔を見るのが好きと言う理由です。
地獄に落ちれば良い。
そんな性根の腐った所でアルバイトをしているのには理由がある。
金が欲しい。
一言である。
世界中のアルバイター全員が言えることではないか。
金のために、労力を使い、時間を潰し、休憩時間を満喫する。そして、ハイエナの如き賃金を搾取する。
店側も、人材が確保できアルバイターもお金がいただける。最高にwin-winな関係。
そんな制度を利用してアルバイトをしている者が現在この店に2人存在する。
1人は、大学生で「遊ぶ金が欲しくてやってしまった。後悔はしている。」と、始めた理由を聞くとかならず豪語している。アルバイト歴11ヶ月
学校は駅2つ先にある医学系の学校で2年前に入学している。
もう1人は、高校生で学校が終わってからアルバイトをしに来ている。両親のせいで学費と生活費を自分1人で稼いでいる。コンビニアルバイト歴3ヶ月。やっと1人でも回せる様になって慣れてきた頃である。
「ありがとうございました〜」
今もまた、トイレを借りに来た神さま(客)が絶望して退店していった所である。
そしてまた自動ドアが開き、今度は男性と女性の二人の神が訪れた。
「いらっしゃぁせ〜」
2人の神は、つがいらしくやたらと無駄に距離が近かった。
そして、2人仲良く店員に語りかける。
「「トイレ貸して」」
何かをしてもらう時の態度とは思えない図々しく敬語の使い方を知らない神だ。
「トイレの貸し出ししてないんスよ」
言葉の最後に「ス」をつける高校生ならではの万能敬語を使用し口の聞き方がまだゆるい感じでといつものように神に説く。
「いやいやいや、コッチも困ってんの。見たらわかるでしょ」
雄の神がお怒りである。
どこを見たら必要なのが分かるのか?
一般ピーポーなアルバイターには、見当がつかない。
ひとつだけ一目でわかる場合もあるがそんな感じではない。
「漏らしたんスか?」
とりあえず聞く。
「「///」」
「漏らしてネェから!ってか、漏らしたかって聞くか?普通」
「安全確認ですから」
「何のだよ!」
ここでアルバイトを始めてから色んな客(神)と交わしてきた決まり文句である。
トイレを借りれないと分かった客(神)がお怒りになる事は多々にある。
それをなだめるのもアルバイターのお仕事に含まれるらしい。
まだ3ヶ月と短い期間ではあるが毎日似た様なことがあるのでかなり慣れてしまった。
そして、行き着いた先は「少しでも楽しく働きたい」に至ったらしい。
結果、「お客様(神)に楽しんでいただきたい」と言う思い、言い方を悪くすれば「客をちゃかす」に至った。
いつものように神対応。
「すみません、防犯上の都合でお貸しできないんスよ」
違う、店長がクズなだけである。客(神)は一応被害者である。
「だ〜か〜ら〜、こっちは困ってるって言ってんじゃん」
言っても聞かない感じの神らしい。
流石に相手が折れないからと言ってこっちが折れる事はない。店長に怒られてしまうからだ。
高校生になっても、怒られるのは嫌だ。
「申し訳ございません」
伝家の宝刀、謝罪。
謝罪してるつもりは、さらさら無いにも関わらず、言えば何だかんだで事が進む魔法の呪文。
めんどくさくなった時にも使える最強呪文である。
「ねぇあっくん、もう行こう?」
助け船が訪れる。
進展しない会話に嫌気がさしたのか、もう1人の神(客)が、進展を促してくる。
「ったく!使えねートイレだなぁ!」
(さっきから、そう言ってるんだよなぁ)
ゴミ(客)達は、悪態を付きながら退店して行った。
店内にはまだ2、3人神様(客)が商品を選んで徘徊をしている。
見て頂きありがとうございます。
今回は、最初の最初で異世界要素は皆無の内容になっています。
今後いい展開に持って行けたら良いなと思っています。
更新は、1週間おきを目安にしていきたいと思います。
何卒よろしくお願いします。