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7話 『アリッタへ』

トルカで報奨金を受け取ったその翌日、カイト達3人は次の目的地、「アリッタ」を目指し歩いていた。

アリッタはこの国でも王都に次ぐ大きな都市であり、工業を中心に栄えている。

この世界における工業とは魔道具の製造を指す言葉のようだが……

そして、ギルドも大規模だ。

依頼も多く、公的な組織や貴族からのものもあり、報奨金もなかなか弾むようだった。

カイト達は既に大金持ちとなったのだが。


「アリッタ……だっけ?

そこで何するんだ?」


「しばらく魔物討伐の依頼を探して依頼を達成していくって方針でいいんじゃない?

アンタ戦えないって訳じゃないみたいだけど何故か弱い魔物にもビビるようじゃ話にならないし、訓練ってことで」


「あれは突然襲われたから……」


「で、でも、私を助けてくれた時はかっこよかったですよ!」


リリアがフォローを入れてくれた。

因みにあの大量の報奨金の理由は、ウッズが自身の知る悪質冒険者のコミュニティを尽く漏らし、一斉大検挙が行われ、それらの冒険者の不正に手に入れたであろう金銭が憲兵に回収され、その一部が功労者であるカイトに渡ったのである。

それにしても一日でそれだけ行動できるとは優秀な警察である。


「というか、アンタホントにどっから来たの?

何でエルフが知ってるような事も知らないわけ?」


「……企業秘密。どうせ言っても信じてくれない」


「何よそれ……ん?あれは……」


話していると、前方から猪のような魔物が数匹現れた。実際の猪より随分小さいが……


「【ウリ・ボア】……

雑魚ね。アンタが倒してみたら?」


「お、おう……」


カイトは腰に差していた剣を抜き、剣道の見様見真似で構えた。

……すると、魔物の前にウインドウが現れた。



【ウリ・ボア】 Lv3


小型の猪の魔物。

基本的には無害だが、時折田畑を荒らす。

少なくとも人を殺傷するような力は無い。

肉は食料、皮は服飾品として出回ることが多い。




……と書かれていた。


「何だ……?

ステータスメッセージみたいな……」


「何ボーっとしてんの?

てかどこ見てるの?」


どうやらカイトにしか見えていないようだ。


「まるでRPGだな……

この様子だと自分のメニュー画面とかありそうだな……後で試すか」


神からのプレゼントと割り切ってカイトはウリ・ボアに向かって剣を縦に振り下ろした。

自らの剣が肉を裂く感覚がダイレクトに腕に伝わり、少し嫌悪感を覚える。

ウリ・ボアはしばらく痙攣した後、絶命する。


「慣れないな……まあ現代の日本人だし普通だよな……?」


ウリ・ボアが倒れると、エネルギーの流れのようなものが自分に流れてくるのを感じた。

経験値というやつだろうか?


現れたウリ・ボアは全部で5匹で、全て一撃で倒すことができた。全て倒した後、目の前にまたウインドウが表示された。



Lv1→2


魔法「ファイア」

魔法「アイス」

魔法「ウインド」

5スキルポイント


を入手しました。



という内容と、後は攻撃、防御、速さ等のステータスが、1ずつ上がっていた。


「ドラ〇エとかで見た事あるぞこんなの……

スキルポイントって何?」


「……独り言?」


「え?あぁ、何でもない」


(……そういえばあの神はレベルというのは俺固有の物だと言っていた。

ステラ達にはレベルは無いのか……?)


「……なあステラ、レベルは幾つだ?」


「はぁ?何それ?」


「いや……すまん。何でもない。」


カイトはまあそうか、と思いつつ、この奇妙な感覚に少し慣れて行った。

身体に力が湧くのがはっきりと感じられる。

この世界における自分の異端さをまだカイトは十分に自覚してはいなかった。


「それにしても珍しい剣の構え方よね。

というより見たことない。我流?」


「そもそも初めて剣なんて使ったしな……

何というか、故郷の剣の持ち方を真似したってところだな」


「東の方に独特な文化を持つ国家があると聞いたことがありますが……その辺りの出身でしょうか」


カイトたちはその後も度々弱い魔物と戦いながら、アリッタへと向かう。

数時間後、アリッタの門を視界に収めるまで近付く。


ここから、カイト達の冒険はより激しいものになって行くのだが、それをまだカイト達は知らない。

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