非現実的との出会い
6月…
俺、田文公光は平凡な日々を満喫していた。
いつもの通学路を通り、学校に通い、授業を普通に受けて、普通に友達と話したりして帰る。
そう、普通の日々…なんて素晴らしいんだろう。
普通こそ、俺が望む最高の幸せだ。
そんな幸せな日々が、今日も続くと思っていた…
俺は高校2年で、大きな家に一人で住んでいる。
なんでも、お父さんの二つ目の別荘だそうな。
お父さんがどんな仕事をしているのか、一切教えてもらったことはないが、すごい仕事なんだろうなぁ…
そんな別荘に、一通の手紙が届いていた。
名指しもない白紙の手紙だ。
新聞も届かないのに、いったい誰が…?
恐る恐る手紙を開いてみると、中には何も書かれていなかった。
ただ一つ、『田文公光』という文字を除いて。
イタズラか…?
だとしても、この家に俺が住んでいることを知ってるやつなんて、友達か先生くらいしか…
なんだか持っているのも怖くなってきた。
俺はすぐさまその紙を丸めて、近くにあったゴミ箱に投げ捨てた…その時だった。
突然その紙が光りだし、どんどんその光を強めていく。
もはや、目を開けることすらできない。
しばらくすると、段々と光が弱くなってきた。
全く、悪質なイタズラをする人がいるもんだなぁ…
そう思いながら目を開けると、そこには見知らぬ少女が立っていた。
カジュアルショートの金髪で、肌色が白く、カラーコンタクトでもいれたかのような黄色い目。
見た感じ12歳くらいの白いワンピースの少女だ。
…見間違えだろうか?
背中には羽のようなものも見える。
頭が混乱する…
なぜ?どこから?そもそもだれ?
こんな非現実的な、物語の主人公のような展開、ついていける筈がない。
そう思って頭を抱える俺に、少女は話しかけてきた。
「田文公光くん…だよね?」
「そ、そうですけど…?」
俺のこの言葉に、その少女の表情は明るくなる。
そして、いきなり俺の元へ駆け寄ってきた。
退こうとしたが、足が震えて力が入らない。
少女が俺のすぐ近くに仁王立ちで立ち塞がった。
そしてその少女は、いきなりとんでもないことを言い出した。
「よし、本物だ!
私『リーポ』は、君を『主人公』に任命しますっ!」