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災いとの出会い

交差点の曲がり角。

漫画やラノベとかだったらかわいい女の子とぶつかっちゃって恋に落ちちゃったりする出会いの場所。公正はそんな出会いにちょっと憧れを抱いていた。だが、現実は甘くないことを公正は思い知るようになる。

 公正と律が交差点の曲がり角を走って抜けようとすると、何かにぶつかって公正は盛大にコケてしまった。ぶつかった感触はまさに壁のようで、甘酸っぱい展開を夢見ていた公正は落胆の色を見せていた。

「いてて…何なんだよ…」

「だ、大丈夫?あ!申し訳ありません!」

律が公正の事を心配しながらも目の前の目付きの悪い大男に謝罪をする。公正はこの大男にぶつかってしまったのだ。

「ほら、早く謝って!」

「…すいませんでした。」

律に言われ公正もバツが悪そうに謝る。しかし、大男はその悪い目付きを更に細め、口角を不気味にあげて公正と律に絡んでくる。

「5万」

「えっ……?」

「背骨折れちゃったからさぁー慰謝料払ってよぉ」

「はぁ…?」

 二人は驚きを隠せないでいた。身長が190センチもありそうなガタイのいい大男が170センチ程度のひょろひょろの体の公正とぶつかっただけで骨が折れたというのだ。しかも背骨である。そう簡単には折れることはない。終いには慰謝料5万を請求する始末。理不尽にも程がある。だが、二人は言い返すことができないままでいた。その男が怖かったということはもちろんだが、なにやら邪悪な雰囲気を感じていた。

「おい、早く出せよ」

「え、いやっ…でも…」

「あの…その…。」

二人共曖昧な返事しか出来ていない。すると、大男は痺れを切らしたのか、

「払えねえならさっさと言えよ!!」

 そう言って大男は隣にあった電柱を殴りつけた。バゴンッ!という音が鳴り響き二人は固まってしまった。しかしそれも当然である。人間が電柱を殴りつけた程度じゃ鳴らない音がしているのだ。しかもよく見ると電柱にヒビが入っている。

「どうなんだぁ!?あぁ!?」

「…っはっ…払えません!!」

 驚きと恐怖のあまり息をすることも忘れていた公正が怯えながらも意を決して答える。

「そぉかぁ…じゃあ俺の遊び相手にでもなってもらおうかぁ…フヒヒ…たぁのしみだなぁ…人を殴るのは久しぶりなんだよぉ…」

 不吉な笑みを浮かべて大男はバキバキと拳を鳴らし始める。公正はふと朝の事を思い出していた。律の言っていた嫌な予感とはこの事だったのかもしれないと。だとしたら…

「あ、あの!律だけは見逃してやってくれませんか…?ぶつかったのは俺だけですし…」

律を痛い目に合わせるわけにはいかないと思って反射的に出た言葉だった。

「お、おねがいしぶっっっ!」

「こ、こーせい!!」

頭を下げて懇願したが顔面を膝蹴りされて言葉を遮られてしまった。律が公正に駆け寄るが公正は「来るな!」と言って止める。

「お願いです!どうか…どうか…」

「っるっせえなぁ!誰を殴ろうが俺の勝手だろうがぁ!!お前の大切な女は俺がちゃぁんといたぶってやるからよぉ」

 公正は何度も殴られる。しかし、何度も懇願する。もはや公正の顔は痣や傷でいっぱいだった。律は目を塞ぎながら「もう…やめて…」と呟いている。

「しつけぇなぁ…てめぇ…」

 公正のしつこさに苛立ちを見せた大男が握りしめた拳には今までと違うオーラのようなものが纏っていた。

「死ねぇ!!」

 オーラを纏った拳は公正の鳩尾を貫く。電柱にヒビを入れたあの拳と同質の拳を入れられた様だ。軽く5メートル程飛ばされて吐血する公正に律が傷を見ようと駆け寄る。顔は腫れ、骨が折れており、オーラを纏った拳を食らった鳩尾はえぐれ、肋骨が見えていた。呼吸もままならず、こひゅーこひゅーと聞こえるのがやっとだった。そんな状態の公正を見た律は顔を真っ青にしていた。

「そんな…こーせい…こーせい!!!起きてよ!起きてよ!!寝てるだけなんでしょ!?ちゃんと起こせば起きるよね!?…うぅ…うわぁぁぁ!!!」

 誰が見ても普通の状態ではなかった。怒りに任せて叫ぶ律の声には絶望も含まれていた。

「うるせぇガキだな。お前もそうなりたいのか?」

大男がニヤニヤしながら律を見下ろす。だがその顔が焦りの表情になるのに時間はかからなかった。

「……してやる…。」

「ぁあぁ!?」

「殺してやる!!!」

律のその目には明らかな殺意が篭っていた。そしてその殺意は律の体に青黒いオーラとなってまとわりついたのだった。

この話から物語はちょっとバトルっぽくなります

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