いざ探検へ
ここから本編開始です。戦闘なども徐々にあります。
「よし、準備はこんなものだな。」
狩に行った翌日。ザックスは、自身の部屋で身支度を整えていた。
「武器の手入れは済んでるし、食料も薬の類も準備してある。これなら、多少のアクシデントがあっても大丈夫だ。」
ザックスは、準備したものを装備すると、部屋を出た。
「おはよう、ザックス。」
部屋を出たところ、姉のミーアと出くわした。
「おはよう、姉さん。今日は、ティックとリリーと一緒に遊びに行くんだ。昨日話したと思うけど。」
「知ってるわ。でも、あんまり遅くならないようにね。最近は、物騒だから。」
「盗賊が出るからだろ?知ってるよ。」
「・・・いえ、どうも、盗賊だけじゃないみたいなの。」
ミーアは、深刻そうな面持ちになる。
「え?」
「おじいさんの話によると、どうも動物みたいなのよ。・・・それも、とても凶暴な。」
「凶暴な動物?ウルフ?それともコブラ?」
「さあ・・・でも、今まで見たことのない生き物だったらしいわ。もう、何人も怪我人が出ているそうよ。」
「見たことのない・・・か。分かった、気を付けるよ。じゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。気を付けてね。」
家を後にするザックスを、ミーアは優しく見送った。
「おはよう、ザックス。」
「おはよう、ザックス。遅かったじゃない。」
村の入り口には、既にティックとリリーがいて、ザックスが来るのを待っていた。
「悪い。色々準備をしてたら遅くなった。」
「さすがはザックスね。用意がいいわ。」
「・・・リリー。お弁当は自分の分で、ちゃんと用意してきてるよね?ザックスの分を分けてもらおうなんて、駄目だからね?」
「当り前じゃない。自分の分だけじゃなくて、ザックスの分も用意してあるんだから。」
リリーは自慢げに、背中のリュックを見せた。
「俺の分も?ありがとう。でも、大変だったんじゃ・・・。」
「いいのよ。私、料理好きだもの!」
(・・・ザックスが絡むと、いい子ぶるんだから・・・。)
ティックは、リリーの本心を察し、内心呆れていた。
「じゃあ、行こうか。早く行って、日が暮れる前に帰ろう。最近は、盗賊以外にも、危険な動物が出没しているらしい。」
「危険な動物?ウルフとか?」
「いや、どうやら違う生き物らしい。詳しくは、分からないそうだけど・・・。」
「・・・怖いな・・・もし、出くわしたりなんかしたら・・・。」
「だから、急いで行って、急いで戻るんだ。明るい時間なら、見つけやすいから、逃走しやすいだろ。」
「そうだね。さっさと行って、さっさと帰って来ればいいんだよね。」
「・・・ねえ、どこ行くの?私、行き先聞いてないんだけど?」
「・・・とりあえず、村を出てから話すよ。ここじゃ、大人に聞かれるかもしれないから。」
「・・・分かったわ。」
三人は、村を出て行った。そんな三人を遠くから見る人影があった。