壊れた星と残った人々
地球から遥か遠くに存在する惑星『ブループラネット』。かつて、この惑星の人類は、地球とは比較にならない高度な文明を築いていた。『オーテク文明』と呼ばれたその文明は、常識を遥かに超えたものだった。宇宙まで届く巨大なタワー、深海でも居住可能な人工ドーム、未知のエネルギーによって半永久的に動く機械、遺伝子操作によって誕生した常識を超えた生物、人類の発展は、止まることを知らなかった。
だが、その文明は、最終戦争によって崩壊した。文明の発展に反比例するように、人類の倫理観や人間性は低下を始めた。その常軌を逸した行動の果てに、理由のない戦争が勃発。その戦争により使用された最終兵器が、文明を破壊したのだ。
その破壊は、文明だけには止まらなかった。惑星の環境もまた、破壊されていった。最終兵器によって、大地は割かれ、海は干上がり、植物も完全に枯れ果て、砂漠と化した。そして、地上に生息していた生物は、死に絶えた。残されたのは、砂と岩と朽ちた木々、そして、文明が使っていた機械の残骸だけであった。
だが、人類は絶滅しなかった。一部の人類は、地下に逃れ、破滅を免れていたのだ。生き残った人々は、地上の惨状に絶望し、後悔した。だが、時既に遅く、彼らはこの地獄の様な世界で生きていかなければならなかった。人類は、時には衝突し、時には協力し合い、過酷な世界を生き抜いていった。
そして、千年の年月が流れた。人類は、厳しいながらも、最低限の生活を送れるようになっていた。文明の復興も、僅かずつではあったが進み、小さいながらも政府も設立した。
だが、それでも食料や水の不足は続き、飢えた者達が暴徒となり、集落から略奪を行うことも珍しくなかった。さらには、略奪を生業とする無法者の集団も存在していたため、人々の生活は、いつ壊されてもおかしくはなかった。政府も対策に乗り出すものの、小規模な政府に広い世界を守れるほどの力はなく、人々は、自分達の力で生活を守らなければならなかった。
それは、子供達も例外ではなかった。十歳を過ぎれば、子供は身を守る術を学ばされ、集落の自衛や食料の採取に協力させられた。ザックスもまた、そんな子供の一人だった。だが、彼は、それを苦とは思わなかった。皆の役に立てることは、ザックスも嬉しかったからだ。
今日も彼は、友人と共に、生きるための糧を狩り、村を守っていた。それが、彼の日常であり、これからも続く毎日であった。
だが、それももうすぐ終わろうとしていた。彼は、この星に関わる大きな事件に、関わることとなるのだから。