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緑の鍵 少年と少女の物語  作者: レイス
第二章 先代文明の遺産
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村からの急報

 「じゃあ、あの時、急に暗くなったのは、あのキメラを大人しくさせるためだったんですか。」

 動力室に戻ったザックス達は、メイスンから動力を止め、部屋を暗くした理由を聞かされていた。

 「はい。この遺跡は、灯りが消えているというのに、何故か動力炉は無事でした。最初は、事件が起きたことが原因で止められたとも考えていましたが、あのキメラの存在を知ったことで、もしかしたら、あのキメラを封じるために、動力炉を止めたのではないかと思ったのです。」

 「じゃあ、あのキメラは、強い光を浴びないと活動できない性質だったってことですか?」

 「ええ、おそらくは。」

 「なるほど・・・。我々が動力を動かし、強い光を浴び続けたために、復活してしまったのか・・・。」

 「はた迷惑だよな。弱点が分かってるなら、さっさと殺しておいてくれればいいのに・・・。」

 調査員の一人が、親キメラに止めを刺さなかった当時の人間を非難する。それを聞いたメイスンは、また考え込む。

 「・・・そうですね。活動を停止すれば、ザックス君たちでも討伐が可能だったのに、どうして当時の人間は、殺処分しなかったのでしょうか?・・・気になりますね。」

 「・・・メイスンさん。あのキメラのいた部屋、調べてみませんか?」

 「駄目よ!あんな怪物がいた部屋を調べるなんて、危ないわ!」

 「・・・うん・・・。」

 ザックスは、メイスンに親キメラのいた部屋を調査するよう提案する。それを聞いたリリーとセシリアは、猛反対する。

 「そうですね。ここからは、私達大人の仕事です。これ以上、君達を連れ回すのはよくないでしょう。」

 「・・・そう・・・ですか・・・。」

 メイスンからそう言われ、ザックスはガックリと肩を落とす。

 「ザックス。さすがにこれ以上は僕達は無理だよ。あんなのが生きていたんなら、他にもいるかもしれないし。」

 「・・・ああ。」

 「安心しろ。その部屋の調査は、俺達大人がしっかりやっておく。」

 「・・・分かりました。」

 「さて、今回の調査は、このくらいにしましょう。帰りましょう、皆さん。」

 こうして、第一次遺跡探索は、終了し、メイスン達はレイクの町へと戻るのだった。


 「リク!」

 町に戻ったザックス達に、一人の男性が駆け寄ってくる。その男性に、ザックス達は見覚えがあった。レムの村の村人カイである。

 「何だ、カイじゃないか。どうしてここに?」

 「村長から、大至急戻ってこいとのことだ。俺は、それを伝えるために来た。」

 「大至急?何かあったのか?」

 「・・・村の周囲で、盗賊や不審な動物が目撃されているのは知っているな?」

 「ああ。」

 「・・・とうとう犠牲者が出た。村の周囲を巡回していた数人がやられた。」

 「何だと!?」

 カイからの報告に、リクは戦慄する。こんな世界、いつ誰が死んでもおかしくない。だが、やはり身近な人間が死ぬということはショックがある。

 「やったのはどっちだ!?盗賊か!?それとも動物か!?」

 「生き残った人間の話によると、盗賊に襲われたらしいんだが・・・そいつらはただの盗賊じゃないみたいらしい。人数は、こちらの方が多かったらしく、油断もしていなかったらしいが・・・異様に強かったらしい。しかも、妙に、統制が執れた動きをしていたらしい。」

 「盗賊がそんな動きを?しかも、異様に強い?何かの間違いだろ?」

 盗賊は、確かに恐れられているが、所詮は無法者の集まりにすぎず、実は、強さも村人と大して変わらない程度なのである。おまけに仲間意識などほとんどない、烏合の衆にすぎないため、こちらの人数が多ければ、武装の差があれば分からないが、基本的に負けたりはしないのだ。だが、今回の盗賊は、人数に差があったにも関わらず、こちらがやられてしまったのだという。リクの経験から、あり得ないことだった。

 「俺もそう思うんだけどな・・・。だが、放置はできない。だから、村の戦力をかき集めて、盗賊狩りを行うことに決まったんだ。」

 「カイさん、それじゃあ、メイスンさん達の手伝いは?」

 「それに関しては、町の人間に話を付けておいた。明日、帰るってな。」

 「急だな。まあ、仕方ないか。ザックス、ティック、リリー、セシリア。遺跡探索の手伝いは、一旦おしまいだ。明日、速攻でレムの村に帰るぞ。」

 「「「「は~い。」」」」

 ザックス達は、村の危機を救うため、メイスンの手伝いを中断して村に戻ることになった。

 だが、この盗賊退治が、自分達を過酷な運命に誘うことになると、ザックスはまだ、知る由もなかった。

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