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緑の鍵 少年と少女の物語  作者: レイス
第二章 先代文明の遺産
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遺跡の真実4

 突然強い光が射し、思わず二人は目を瞑る。

 「う!・・・メイスンさん・・・これは・・・。」

 「・・・どうやら成功の様です・・・まだ、動力炉は活きていたようですね・・・。」

 二人は、しばらくは目が眩み、周囲の確認ができなかったが、次第に慣れてきたことで、部屋の確認を行うことにした。

 部屋は、動力炉とその周囲に装置が置かれているだけで、それ以外には何もない部屋だった。

 「・・・すごい・・・こんな昔のものが、今でも動くなんて・・・。」

 「動力炉自体は壊れていませんでしたから。・・・燃料が残っているかが一番の不安でしたが、この様子だと、大丈夫そうですね。」

 「・・・燃料って、まきですか?それとも、石炭や石油?」

 「・・・分かりませんが、現在使われているどの燃料とも違うようです。・・・液体燃料でも、固形燃料でもないようですし・・・。・・・まさか・・・インフィニティ動力?それなら、未だに稼働できることにも説明が・・・。」

 ザックスの知らない単語ばかり呟いて考え込むメイスン。だが、ザックスは、施設が明るくなったのなら、残っている他の調査隊員を連れて来た方がいいと思い、メイスンに提案することにした。

 「メイスンさん。明るくなったのなら、皆を連れて来た方がいいと思います。まだ、警戒は必要だと思いますけど、暗かった時よりやりやすいと思いますし、大勢いた方が、調査も進むんじゃ・・・。」

 「・・・そうですね。では、他の人達をこの部屋に。私はここで、この動力炉の調査を行っていますから。」

 メイスンはそれだけ言うと、炉の調査に集中しているのか、それ以上何も言うことはなかった。


 「・・・メイスンさん、興味深いものを見つけたのはいいですけど、少しは我々に言ってください。心配していたんですから・・・。」

 ザックスの報告により、動力室に来た調査隊員は、メイスンに苦言を呈する。

 「・・・すみません・・・つい夢中になってしまい・・・。」

 「確かに、動力炉が活きている遺跡は珍しいですが、人命が最優先だと、いつも言ってるでしょう。メイスンさん自身・・・・・・・・が。」

 「・・・すみません。」

 調査隊員達に囲まれ、次々と注意され、メイスンはすっかり小さくなっていた。

 「大丈夫だったか、ザックス?」

 一方、ザックスの方も、リク達に何もなかったかと心配されていた。

 「大丈夫です、リクさん。この通り。」

 「無事で安心したぞ。俺達は、生きた心地がしなかった・・・。」

 「そうだよ・・・いくらザックスが強くても、こんなよく分からない所じゃどうなるか・・・。」

 「・・・ぐす・・・。」

 「・・・。」

 安堵するリクとティック、泣いているリリーとセシリア。それぞれがザックスを本気で心配しているのが伝わっていた。

 「だから、大丈夫だって。それに悪いことだけじゃない。面白いものも色々見つかったんだ。付いて行ってよかったかも。」

 「呑気だな・・・僕達、本気で心配してたんだから。」

 「分かってるさ。」

 不満気なティックに対し、ザックスは笑顔で返すのだった。


 「・・・メイスンさん。明るくなったことで見つかったのですが・・・。」

 一方、メイスンの方では、隊員の一人が、メイスンに長方形の物体を手渡す。

 「!これは・・・記録端末!」

 「中身はまだ見ていません。・・・メイスンさんの持つ『バッテリー』がなければ見れませんので・・・。」

 「・・・分かりました。見てみましょう。」

 メイスンは、隊員から渡された端末に、バッテリーを接続した。

 「・・・これは・・・この施設の地図ですね。ありがたい。これで、調査が進みます・・・。」

 「『オメガ線防御シールド第五試験場及び試作型地下シェルターNo6』と書かれていますね。」

 「先に見つけた端末から、ここがオメガ線から身を守るためのシードルを研究する施設であると同時に、シェルターでもあることが分かりましたが・・・第五にNo6とは・・・。まだありそうですね。」

 「これは、大発見ですよ。首都キャピタルにある『先代文明研究所』に報告すれば、メイスンさんの名が残りますよ!」

 「そんなものに興味はありません。私は、研究と調査ができれば、それ以上は必要ありません。・・・?どうやらこの施設には、さらに地下があるようです。」

 「・・・居住エリアとキメラの飼育エリア・・・だそうですね。別に、今すぐ調査しなくてもいいと思いますが・・・どうします?」

 「・・・ここまで来たら、最後まで行ってみましょう。二人ほど、同行してくれませんか?」

 「いいですよ。」

 「明るいなら、調査もはかどりますね。」

 二人の隊員が、メイスンの同行に名乗りを挙げる。

 「リクさん、ザックス君。二人にも護衛を頼みたいのですが、よろしいですか?」

 「え?・・・俺はいいですけど、ザックスは大丈夫か?」

 「俺は大丈夫です。まだ体力に余裕があります。」

 「ザックスばっかりズルいよ。僕も見に行きたいな・・・。」

 「でしたら、皆さんもどうですか?若いうちに色々知ることは、重要ですよ。」

 ティックの不満に対し、メイスンは子供達全員で行くことを勧める。

 「本当!?やったー!」

 「あー・・・私はいいかな・・・遺跡にはいい思い出ないし・・・。」

 「・・・私も・・・いい・・・です・・・。」

 行く気満々のティックに対し、女子二人は露骨に嫌そうな顔をして辞退した。

 「ティック、遊びに行くんじゃないんだぞ。」

 「分かってるよ、リクさん。」

 「では、いざ未知の領域へ!」

 嬉しそうなティック、それをたしなめるリク、子供の様にはしゃぐメイスン、そして、そのやり取りを微笑んで見ているザックス達は、調査隊員達を伴い、更に地下へと調査へ向かうのだった。

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