表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緑の鍵 少年と少女の物語  作者: レイス
第二章 先代文明の遺産
29/48

死んだ遺跡

 「長いですね。」

 地下へと続く長い階段を下りながら、メイスンは呟く。

 開かれた入口の先は、一寸先も見えないほどの暗闇と、地下へと続く階段があった。メイスン達調査隊は、地上に十数名程待機させ、ライトを持った隊員を先頭に、地下へと続く階段を下りることにした。

 だが、十分ほど経っても、階段が終わることはなく、未だに彼らは下り続けていた。

 「ええ。・・・階段だけでこの長さ。想像以上にこの施設、大きいのではないですか?」

 「でも、どうして、ここまで長い階段を作る必要があったんだ?」

 他の隊員達も、この階段の長さに疑問を呈していた。

 「・・・ねえ、リクさん。・・・なんだが僕、怖いよ・・・。」

 ティックの方は、いつまでの続く長い階段に、恐怖を感じていた。

 「な・・・何よ、ティック。・・・もうリタイア?・・・情けないわね・・・。」

 と言いつつも、リリーも震えていた。

 「・・・メイスンさん。子供達にこれ以上は無理だと思います。・・・もう十分・・・いや、五分しても階段が続くようなら、俺達は一旦、地上に戻ります。」

 子供達の様子を見て、リクはメイスンにそう告げる。

 「・・・分かりました。ここまで広いとは、私も想定していませんでした。あと五分ほど進んで、まだ終わりが見えなければ、帰還しましょう。」

 全員、無言ながらも、メイスンの意見に了解していた。ここまで長い階段を下って行くことなど、誰も想定していなかったからだ。

 だが、それから五分もしないうちに、先頭の隊員達は立ち止まる。

 「?どうかしましたか?」

 「・・・行き止まりです。ここから先に、壁・・・いえ、扉の様なものがあります。」

 「扉?」

 「ええ。・・・開けてみますか?」

 「・・・お願いします。ただし、慎重にお願いします。」

 「了解。・・・まあ、簡単に開くとは・・・。」

 隊員は、目の前の扉を開けるべく、軽く扉を引く。すると、扉は何の抵抗もなく、扉は開いた。

 「!?あ・・・開きました・・・。」

 「・・・あっさり開いたな。外の扉が開かなかったから、てっきりここもとばかり・・・。」

 あまりにあっけなく開いた扉に、隊員達は拍子抜けした様子であった。

 「・・・。」

 一方のメイスンは、険しい表情を崩してはいなかった。

 (・・・扉がこんなあっさりと?自動ドア・・・でなないですね。あれは、扉の前に人間が立てば、開くとのことです。手動で開ける必要はないはず。・・・おそらく、この遺跡、既に動力が・・・。)

 「・・・メイスンさん。この先も真っ暗です。」

 隊員は、ライトを持つ手を扉の向こうに向ける。そこは、ライトの光が射さない場所以外、階段と同様に真っ暗であった。

 「・・・なるほど。どうやら、この遺跡は、動力が止まっているようですね。」

 「となると、参りましたね。動力が活きているなら、探索も楽だったんですけど・・・。」

 「それは、稀なケースです。過去の遺跡なのですから、動力が活きているはずありません。そのために、ライトを大量に持ってきたのです。残りのライトも全部出して、探索を続行しましょう。」

 「・・・了解。全員ライトを。」

 隊員達は、各自持っていた鞄から、ライトを取り出し、灯りを点ける。

 「・・・ザックス。お前も一応、持っておけ。」

 リクは、ザックスにライトを一つ渡す。

 「え?リクさんは?」

 「俺は、もう一つあるからそれを使う。念のため、お前も持っておけ。」

 「・・・はい。」

 ライトを受け取ったザックスは、電源を点ける。ザックスの周囲が、ライトで明るく照らされる。

 「皆、これなら少しは怖くないと思うぞ。」

 「・・・ふう。灯りを見ると、何だか安心するね。」

 「・・・まあ、私はそんなに怖くなかったけど・・・。」

 「・・・明るい・・・。」

 ザックスの点けた灯りを中心に集まり、安堵するティック、強がるリリー、表情には見せないものの、嬉しそうなセシリア。三人共、それぞれの反応を見せた。

 「では、探索を続けましょう。ただし、何か見つけても触らないでくださいね。」

 メイスンは、全員にそう告げると、ライトを手に暗闇の施設の探索を再開するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ