メイスンの秘密兵器
「・・・確かに、金属の何かが埋まっているみたいですね。しかも、先ほどのロボットより大きい・・・。」
ザックスの話を聞き、ロボットを掘り出した場所を調べたメイスンは、さらに金属の何かが埋まっていることを確認した。
「すごいよ、ザックス!また大発見するなんて!」
「また、ロボットですか?」
「・・・掘り出してみなければなんとも・・・。・・・ですが、ロボットとは違うようですね。」
「じゃあ・・・一体・・・?」
メイスンは、しばらく考え込む。そして、しばらくして、調査員の一人に告げた。
「・・・三号機の用意を。」
「ええ!?一応、持ってきてはいますが・・・あれは、まだ調整がうまくできてないと・・・!」
「ですが、あれなら一気に発掘を進められます。・・・お願いします。」
「・・・了解。・・・でも、どうなっても知りませんよ。」
調査員は、渋々といった様子で、メイスンの指示に従い、箱の様なものを操作する。すると、突然、もの凄い風が周囲に吹き付け、大量の砂を巻き上げる。まるで、砂嵐が起きたようである。
「うわ!?な・・・何!?」
突然の砂嵐に、ティックは困惑する。
「こ・・・これが・・・大掛かりな発掘のために改造した・・・三号機です・・・!・・・大きな風を起こし・・・周囲の砂を巻き上げて・・・発掘をしやすくするのです・・・!」
「そ・・・そんなロボットがあるなら、どうしてあの時・・・!」
「風の強さの調整が・・・まだ不十分なので・・・あまり使いたくなかったんです・・・!遺物を壊す恐れがありますし・・・このように・・・砂嵐が・・・うぐ!」
「うぷ・・・!砂で息が・・・!」
「で・・・できるだけ・・・息を止めてください・・・!あと・・・話さない方が・・・!・・・うう!」
(・・・口を開かなくて正解だな・・・。)
砂のせいであたふたしている二人を余所に、ザックスは一人、口を服の裾で塞ぎ、身を屈めて砂から身を守る。他の調査員達も、同様に身を屈めたり、口を布で塞ぐなどして、身を守るのだった。
それから数分、いや、もしかしたら、一分も経っていないかもしれないが、巻き上がった砂が晴れ、ようやく周囲の様子が窺えるようになった。
「うう・・・酷かった・・・。」
「はい・・・あれはやはり、失敗です。もっと改良が必要ですね・・・。」
砂嵐が収まり、メイスンとティックはのそのそと砂の中から這い出て来た。
他の調査員達とザックスも、同様に砂の中から這い出て来た。
「・・・ザックス、大丈夫だった?」
「・・・ああ・・・何とかな。・・・死ぬかと思った。」
「・・・メイスンさん。三号機はやはり、使うべきではなかったのでは?」
「・・・そうですね。これは、想像以上の酷さです。まだ、改良の余地がありますね・・・。」
「・・・メイスンさん、どうせなら、俺達を遠ざけてから使えばよかったのでは?」
「!そうでした!そうすればよかったですね・・・。すみません、発掘にばかり気が入って、そこまで考えが及びませんでした・・・。」
調査員の言葉に、メイスンはハッとなり、申し訳なさそうに頭を下げる。
「ははは、でも、メイスンさんらしいですね。」
対する調査隊の面々は、いつものことだと大して気にしていない様子で笑っていた。
(・・・意外とこの人、ドジなのかも・・・。)
ティックは、そんな彼らのやり取りに、少し呆れ果てるのだった。




