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緑の鍵 少年と少女の物語  作者: レイス
第二章 先代文明の遺産
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隣町へのお手伝い

 「・・・リクさん。まだ着かないの?」

 馬が引く荷台に乗るティックは、退屈そうに御者を務めるリクに言う。

 「もう少しだ。あと一時間くらいで、レイクの町に着く。」

 「ティック。そんな言い方は駄目だろ。俺達は、遊びに行くんじゃないんだから。」

 同乗するザックスは、ティックの退屈そうな物言いに苦言を呈する。

 「分かってるよ。・・・本をただせば、僕が行こうって言ったのがいけないんだし・・・。」

 「分かっているなら、これ以上は何も言わないさ。だから、町の手伝い程度の罰で済んだんだ。」

 「はあ~・・・レイクの町のお手伝いか・・・。大人でも大変だっていうのを子供にやらせるかしら?」 

 リリーがげんなりした様子で溜息を吐く。

 「じゃあ、遺跡の跡地の後始末か、最近噂になっている謎の盗賊と凶暴な動物の調査でよかったかい?」

 「冗談!そんなのするくらいなら、レイクの町の手伝いの方がマシ!」

 「ははは。そうだろう。」

 「・・・。」

 動揺するリリーを尻目に、セシリアは静かに外の景色を眺めていた。


 ザックスが目を覚ましてから三日後。他の三人も無事に目を覚ました。三人とも、突然村にいることに困惑したものの、意外と早く冷静さを取り戻した。そして、大人達に謝罪と、何が起こったかを話した。話の内容は、ザックスの内容と大差なく、ミーアとアムンゼンは、ザックスの話がより確かなものであると確信した。

 それからさらに三日後、ザックス、ティック、リリー、セシリアの四人は、村長の家に呼ばれた。今回の件は、大人の言いつけを守らず危険な目に遭ったのだから、当然、怒られるものだと四人は覚悟していた。だが、予想に反して、そこまで怒られることはなかった。無論、キツく注意はされたが。

 そんな四人への罰として、アムンゼンは隣町レイクへの手伝いを命じた。

 「レイクの手伝いって・・・メイスンさんの?」

 「うむ。近々、大規模な砂漠の調査を行うとのことだ。これに関しては、この村からもよく人手を出しているのは知っておるだろう。」

 「それを俺達に?」

 「そうだ。・・・本来なら、もう行く人間は決めていたのだが・・・遺跡がああなってしまったからな。何か危険はないか調査とその後始末をせねばならん。」

 「・・・。」

 アムンゼンの言葉に、四人は俯く。自分達のせいで、大人達に余計な負担をかけてしまったのだ。この世界、生きていくのも困難な世界で、余計な負担は命取りになりかねない。そうさせてしまったことに、四人は罪悪感を感じていた。

 「その割いた人員の代わりとして、お前達を入れることとする。迷惑をかけた分、しっかり働いてくるのだぞ。」

 「・・・はい。」

 「・・・そんなに心配な顔をせんでもいい。リクを目付け役として同行させる。それなら、お前達も少しは安心だろう。」

 「リクさんが?」

 「そうだ。本来なら、リクも後始末にいくはずだったが、お前達がどうしても心配だと言ってな。自分から進んで目付け役になったのだ。」

 「・・・。」

 「だが、手は抜かんぞ。リクは、優しいが、厳しいところもある男だ。甘えても手は貸さんからな。それは覚えておくのだ。」

 「はい。」


 「・・・見えてきたぞ。レイクの町だ。」

 リクの声に、ザックスは荷台から顔を出す。

 ザックスが見た先には、大きな川が流れ、その側に少し大きめの集落が見えた。

 「レイクだ・・・。」

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