荒廃した世界
「・・・ようやく出口だ。ここを出れば、村まで目と鼻の先だ。」
「ふ~・・・一日中森を走り回って、もうクタクタだよ・・・。」
狩を終え、獲物を仕留めた二人は、長い時間をかけて、遂に森を出た。二人の目に、森の外の光景が広がる。
森の外は、一面の砂漠で、植物は一切見えなかった。いや、正確には、植物の姿はあったのだが、どれも枯れた木々で、生きた植物は、どこにも見えなかった。森の側には、不自然に窪んだ地形があり、かつて、何かが通っていたであろう跡があった。
「・・・いつ見ても、悲しいよな・・・この光景・・・。」
「そうだね。・・・大昔は、ここも緑がいっぱいで、川も流れていたって話だけど・・・。」
「・・・。」
二人にとっては日常の、だが、どこかもの悲しさを感じる光景である。これが、この世界の現在の姿であった。そんな二人の姿を、真っ赤な夕日が照らしていた。
「・・・急ごう。日が沈み始めている。早く戻らないと、危険だ。」
「・・・うん。」
二人は、自分達の住む村へと歩を進める。
この二人は、先ほどまでいた森の近辺にある集落、レムの村に住む少年である。二人は、子供ながらも、ザックスは剣が、ティックは弓に関して卓越した才能があったため、時折、こうして大人の頼みで狩をし、獲物を村に持ち帰っていた。
「ねえ、ザックス。今日の仕事が終わったら、しばらくフリーだよね?ザックスは、その間何するの?」
突然、ティックがザックスに、今後の予定について尋ねてきた。
「何をするって、俺は、剣の練習でもするつもりだけど?」
「ザックスは真面目だな・・・たまには何か、息抜きでもしないと。」
「息抜きって言っても、することなんて、おじいちゃんの家にある本くらいしかないよ。・・・難しくて、寝ちゃうけど・・・。」
「あはは!確かに、村長の家の本、難しいことばっかり書いてあるもんね。」
「・・・そう言うティックは、何か予定があるのか?」
「うん。あの森の奥にある遺跡に行くつもりなんだ。」
「遺跡?最近見つかった、先代文明時代の?」
「うん。あの遺跡、まだ大人達も調査し終えてないから、まだ何か面白いものがあると思うんだ。だから、何かないか探してみようと思ってるんだ。」
「・・・ティック。遺跡には、当時の機械が稼働している時があるらしいんだ。もし、そいつに出くわしたら、どうするつもりだ?ティックには、分が悪いぞ。」
「だから、一緒に行こうよ、ザックス。」
「俺も?」
「そう。ザックスがいてくれたら、僕的には心強いな・・・。」
「・・・。」
ザックスは、しばし考えると、口を開いた。
「・・・分かった。ただし、これは二人の秘密だからな。大人には、絶対言っちゃ駄目だぞ。」
「うん!」
ティックは嬉しそうに頷く。
「・・・お前、まさか、一人で行くのが怖いから、最初から俺を誘うつもりだったんじゃ・・・?」
「さあ~何のことかな~?」
ティックは、視線を泳がせながら答えた。それを見て、ザックスは、自身の推察が正しいと確信した。
「・・・まあいいさ。俺も、あの森の遺跡には、興味があったんだ。」
「へへへ、やっぱり。」
「でも、危ないと判断したら、すぐに帰るぞ。おじいちゃんにバレて、怒られたくないからな。・・・怒ると怖いんだ・・・おじいちゃん。」
ザックスは、祖父の怒った時の様子を思い浮かべると、身震いする。
「分かってるよ。・・・あ、ザックス!灯りだよ!もうすぐ村だよ!」
ティックは、遠くに輝く光のある場所を指す。その光は、明らかに自然のものではなく、人工的なものであった。
「・・・急ごう、ティック。あんなに灯りが綺麗に見えるってことは、夜が近い。」
「うん。」
二人は、疲れた身体を押して、帰路を急いだ。