忍び寄る敵13
アイザックと行動を共にする事になった私は今アイザックと共にトウワ国のお偉方と輸出入の話をする為に会食をしていた。
「そちらの方は?」
今回の使節団の代表がそう尋ねて来る。
「私の学友で、ミッシェル・カリスと言う。学園を卒業した後は私の内政政策に協力して貰う事になっている」
「そうでしたか。ミッシェル殿これから宜しくお願いしたい」
そう言うたトウワの使節団の面々が皆口々に宜しくと述べる。
「こちらこそご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します」
席を立ち軽く一礼する。
「いやいや。なかなかの好青年ではありませんか。殿下もこれからの活躍楽しみですな」
そう言って楽しそうに笑った。
本当に和やかに会談が進み、会談が終わろうとした時、その報せが入った。
「帝国の皇太子様が内々に訪問されました」
和やかな空気が一瞬で凍りついた。
「既に王宮の間にて国王陛下と会談中でございます」
まだ若い文官はそう口上するとその場を去って行った。
『とうとう来たのか』
そう思い右手の拳を握った。
*******
アイザックの夜会の準備をしていると兄のリアンがやって来た。
「少しお話が」
アイザックの身支度は隣の部屋で侍女達が整えており、私は一人手前側の部屋で着付けしていた。
アイザックの御下がりを。
「アイザックなら今着替中です」
王族の正装は面倒だ。
今日着たのだって相当微調整がある。
主に腰が……。
まぁ、そこは魔術で誤魔化したけどね。
「皇太子の動向とトウワの姫様の流れから多分一時休憩の時間を狙って来ると思う」
小声で私にだけそう伝えると
「タイミングを逃すな。殿下にも宜しく」
それだけ言って去って行く。
相変わらず事務的な声掛けだと思う。
普通兄妹なら少しは妹を労れよ。
そう思いため息を吐いた。
リアンが部屋から立ち去ると同時に侍女を引き連れてアイザックが登場する。
「おお。貴公子然としているな」
私の格好を見た侍女達も何故か顔を赤らめている。
最近ケヴィンお兄様直伝のフェロモン垂れ流し特訓の成果か、妙に女性から好かれる。
これって念願の女友達が出来るのもそう時間は掛からないだろう。
何せ学園ではボッチ……。
そう思うと泣けて来る。
明後日の方に闘志を燃やしたミッシェルを伴いアイザックはいざ夜会へと向かった。
だからあんな失態をしてしまったのだ。
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