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お兄様のエスコート権をゲットします

毎度、お約束的展開ですがお楽しみ頂けたら幸いです。

翌日私はアイザックに兄のエスコートの許可を頂くために張り切って登校していた。


令嬢方の黄色い悲鳴と共に登場するアイザックとジャク。

どちらも婚約者が有る身なのに朝から五月蝿いものだ…。

いつもの私ならそう思っていたのだが今日は違う。

先週不本意ながらもアイザックに弱みを握られ、体のいいペット宜しく小間使いに身を落とした私だが、今日は大好きなお兄様とのファーストダンスの為に気合いを入れているのであります。

「おはようございます。アイザック。ジャク」

機嫌良く挨拶をする私にアイザックは「おや?」となりながらも挨拶を返す。

「昨日はお陰様で仕立て屋が我が家に参りました。お心遣いありがとうございます」

「そう。それは良かった…」

アイザックは爽やかスマイルをくり出す

「実は折り入ってお願いがございます」

私はド・ストレートに用件を切り出す。

「何かな?」

アイザックはにこやかに促す。

「昨日たまたま非番で来ていたラハン公爵家のケヴィン様(お兄様)がペレッタ公爵邸まで是非エスコートをしたいと申しまして、今後の協力の事もございますので宜しいかどうかお伺い致したく」

何処と無く硬い言い回しをしてしまうミッシェル。

「別段構わないけど。それよりミッシェル。少し畏まりすぎだよ」

顔を引きつらせつつアイザックは言うのを隣で聞いていたジャクも同意する。

「すみません。少々意気込んでしまいました」

ミッシェルは片手で羞恥で赤くなった顔を隠す。

こういう仕草、男色家なら飛び付きそうだな。とアイザックは思う。

確かミッシェルは重度のブラコン。

そっちの気があるのかとこの前から見ていたが、他の男子生徒には触手が動かない様だから単なる重度のブラコン止まりで間違いない。

もし本当にそっちの住人だったら即小間使いは解雇だったけどね。

ん~とアイザックが考えているとミッシェルはついでとばかりにもう一つお願いしてきた。

「実はケヴィン様(お兄様)がファーストダンスを踊ってくれると言っているのですが、踊っても良いでしょうか?」

顔を赤らめ恥じらう様に言うミッシェルの様子をアイザックは『やはり』と思う。

「同じ人と何曲も踊れないからね。構わないよ。ミッシェルにもご褒美がないとね」

アイザックは軽くウインクする。

パァーと明るくなるミッシェルに、何がそんなに嬉しいんだ?とジャクは疑問に思ったのは言うまでもない。

「ありがとうございます。当日が楽しみですね」

有頂天になるミッシェルにジャクは冷めた目を向けた。


アイザックは喜ぶミッシェルを見ながら更に確信する。


この有頂天振り。

ケヴィン・ラハン(餌)でミッシェルを釣るのも良いかもしれないな。

卒業後引き抜きするのに使えるな。


楽しい玩具が出来たとばかりにミッシェルを見る。

正直この退屈な学校に飽き飽きしていた所だ。

第二王子の自分はここを出ると共に魔法騎士団第二分団長及び総司令次官の位を拝命する事になっている。

王太子の兄と違いあまり取り入る魅力の少ない権力だ。

婚約者に至っても義理父になるペレッタ公爵は本当なら王太子に嫁がせたかったものを隣国の姫にその地位を奪われ嫌々私との婚約を取り次いだと言うのが本当だ。

彼からしたら孫の身分も怪しい権力の少ない王族に嫁がせるよりも有力な貴族との繋がりを持つ婚約の方が価値があると思っているはず。

しかし、一度王族に縁談を持ち込んだ手前破棄出来ずに泣く泣く第二王子の私との婚約になったのは気の毒を通り越して何も言えない。

まぁ、婚約者に対して私は何かを言うつもりもないが、あくまでも婚姻は王族の義務だからと割り切ってもいる。

それに、面白味もない普通の令嬢だが見た目だけは良いからこの縁談事態不平はなかった。

仮に彼女の方が年上だとしてもである。

それに卒業するまでの楽しい玩具も見つけた事だしね。

逸その事私の第二分団に引き抜こうか?と真面目に考えてしまう。

よし。

卒業までに声かけてみようと心に誓った。



意図も容易くお兄様のエスコートの権利をもぎ取った私はアイザックの小間使いとして頑張っていた。

「ミッシェル。この案件の資料が欲しいのだけど」

アイザックは数枚の書類を見せるやミッシェルは図書館へと孟ダッシュをする。

何せ休み時間は貴族タイム(ブレイクタイム)と言っても20分程しかない。

悩んでいる時間はないのだ。

片道歩いて5分の道のりを脱兎の如く走る。

『廊下は走ってはいけません』と声が聞こえそうなのをあえて無視して走る。


図書館は生徒の他にも貴族等に一般貸出をしているだけあり、蔵書の数が半端ない。

そんな図書館もミッシェルにとっては自分家の庭の様なものだった。

何せ2つ上の兄に張り付いて1年間通い詰め、更に読書にはまって入学前まで通い詰めたのだ。

図書館に着くや数冊の本を取り貸出帳へと記入をする。


再び脱兎の如く教室へと向かう。

教室へ戻ると借りてきた本をアイザックへ渡す。

「ありがとうミッシェルこれで有意義な授業が受けられるよ」

アイザックは努めて爽やかに笑む。

嘘つけ。

公務の書類を持ち込んでいるくせに…。

実はアイザックは王族としての公務もあり、事実上授業で学ばねばならない事は全て学習してあった為に、公ではないが公務を持ち込んで処理している事は先生方の暗黙の了解となっていた。

その為、席も一番後ろをキープしている。

皆から距離を取る様にアイザックを真ん中に今はジャクと私が両隣に座している。

正直私も授業で得るものは殆どないのだ。

暇なので図書の本を読み漁っていたのだが、どうやら後ろをキープしていたアイザックからは最初の頃から見えていたらしく、毎回こんな使い走りをさせられている。

とは言うものの、アイザックのお陰で今は堂々と本を読んでいるのでお互い様な感じはする。


昼食はジャクの家の料理を頂いている。

ロイティ公爵家の侍女が数名運んで来てアイザックのその時の気分により場所を変えて食事をしている。

本日は校舎の南側にあるラウンジを陣取っていた。

私もあの屈辱的な日以降からご相伴にあやかっているのだ。

殿下も召し上がると言う事で使用されている食材がまた良い物ばかりで、その美味しさに満喫していた。


ミッシェルは気付いていない。

使える小間使いに逃げられない様にジャクに餌付けされている事に…。


ごめんねミッシェル。

アイザックは人使いが荒いから卒業まで付き合ってね。







相変わらずのブラコン振りです。

また読んで頂いたら幸いです。

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