間休 アイザック2
チャーリーをリアン達に引き渡した時、リアンが私の方を見て近付いて来た。
「殿下。今日はもうお休み下さい。護衛にミッシェルを置いて行きますので」
そしてリアンは不適な笑いを浮かべ耳元まで顔を近付けると
「でも、要らぬ接触は避けて下さいね。ミッシェルは私のものなので」
得意気にそう言うリアンの口角がすっと上がる。
遠ざかるリアンに一瞬思考が停止する。
リアンはそんなアイザックにお構い無しと、そのままチャーリーの方へと足を向けた。
固まってしまった頭のままリアンの言った言葉の意味を考えてしまう。
つまり、それは友人以上の接触は許さないと言う事か?
あらぬ想像をしてしまい思わず紅潮してしまう自分を誤魔化す様に、私はリアンに背を向けてベッドの方へと足を向けた。
今日はもう余計な事を考えずに寝てしまった方が良い。
そう結論付けて。
扉が締まり室内には私とミッシェルの二人きりになる。
「今日は色々あったからこのまま寝ようか」
急ぎベッドへと入ると自身の隣を提示する。
「どうせソファーで寝るとか言うのだろう。それじゃあ疲れは取れないからこちらで寝ろ。命令だ」
本当は分かっていた。
今日のミッシェルは大量に魔力を消費していて、先程から眠そうにしている事も。
「命令……ですか……」
躊躇いがちにそう言うミッシェルに『あぁ、さっきの同性同士の話を気にしているのか』と思い安心させる様にミッシェルに微笑みかけた。
「念のため言っておくが、私は衆道ではないから安心しろ」
自分で言うと何故か打撃がある。
「あの……私寝相が悪いので」
それでも断ろうとするミッシェルに更に言葉を投げた。
「大丈夫。伊達にキングサイズじゃないから離れて寝よう」
思わず苦笑してしまう。
何を言い訳しているのかと……。
ミッシェルは大きく息を吐くと私の隣……と言ってもお互いが手を伸ばしても触れない位の距離に横になった。
「では、アイザック。失礼しておやすみなさい」
そう言うとミッシェルは待ってましたとばかりに深い眠りに落ちて行った。
ミッシェルから揺らめく魔力を感じたくて側に寄りそい、規則正しい寝息を立てるミッシェルの首筋にそっと顔を埋めた。
「自身の事なのにさっぱり判らない。私はお前をどうしたいのだろうか?」
そう言うとミッシェルの寝息に誘われる様に眠りに落ちて行った。
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