忍び寄る敵2
実を言うと王権反発勢力の動きは以前からあった。
ただここ数年。
つまり、アイザックが内政を取り仕切る様になってからその反発は更に加速している。
理由は「あんな若造に偉そうにされたくない」らしい。
本当か?
あんたら一応貴族だよね。
そう言いたい。
故にここのトップも王弟殿下が目を光らせられる様に人事があったし、我がラハン家も私の入学に託つけて頻繁に出入りしている。
勿論先生方は私が女性である事は知っているが本当の素性は知らない。
もし知っているとしたら此方側の人間か、はたまた敵側かと言う事になる。
だから兄達が頻繁に出入りしているのを敵側は単に妹が心配という風に見ていると思う。
ケヴィンお兄様は兎も角、リアンお兄様はシスコンではないのだから私を心配してとかは有り得ない。
だって、私を武器位にしか思っていないのだから。
今日は兄のケヴィン共々王宮へと向かっている。
既に晩餐の時間になっている時間の訪問に門番が不審そうに近付いて来るが馬車の紋様と兄が窓から顔を出した為に素通り出来た。
「凄い。お兄様顔パスだ」
私が感心していると
「当たり前だ。私を何だと思っている。兵の事なら兄上よりも精通しているよ」
お兄様素敵です。
思わずうっとりしてしまいました。
さて、何故兄と一緒に王宮に来たかと言いますと未婚で未成年の私の保護者として同伴しています。
つまり先日のアイザックのお誘いの件ですね。
「今回は王太子の婚約者もいらしている。あの王子としてはナイスタイミングのお誘いだったな」
何か言われ方が『アイザックはアホや』と言われている様にさえ思ってしまう。
「兄上は文官として仕事詰めになっている事で既に王宮に入っている」
そういう設定か。
「兎に角ミッシェルはアイザック殿下の護衛に徹する様に、いっそうの事王子の部屋に泊まってもいいから」
「それって寝ずの番って事ですか?」
どれだけ私を働かせたいんだ。
思わずジと目になってしまう。
「どう解釈して貰ってもかまわないが、あちらに動きが出た以上、念には念をかけても足りない位だからな」
ビシリとそう言われれば兄を敬愛する私が嫌だと言う選択は既にない。
「判りました。寝ずの番致しましょう」
「任せたよ私の可愛いミッシェル」
そう言って兄は熱く包容してくれる。
妹ミッシェル。
今死んでも悔いはないです。
そう思い馬車が止まるまでの数分間、私は肉欲を満喫した。
『お兄様大好きです。
うっとり。
by ミッシェル』
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