模範試合11
その後のレイモンドの試合は、はっきり言って拍子抜けしてしまった。
「あいつ。やる気があるのかよ」
本当にそれに尽きる。
戦い方が私の時とは違いまるっきり押されっぱなしである。
ほら。
それが証拠にアイザックが鬼の様に怒っているから。
基本的に王子様は不機嫌を顔には出さないのだという事を最近の付き合いで気付いた。
本来ならプライドの高い王子様。
私をガン見している事が最近多いのは、それは多分機嫌をそこねて睨まれているのだろう。
そう当たりを付けた。
故にそれをふまえ昨日の話と照らし合わせるに、高い確率でアイザックは機嫌が悪いという事になる。
やだな~。
時間的に昼食を挟んで午後になるよ……私の試合。
そう思うとげんなりしてしまう。
正直に言うと女性特有のあれが来ているんですよ。
多分経験からすると今日の午後が一番辛いと思うんだ。
それなのにアイザックと試合?
手加減出来ないから、下手すると大変な事になってしまうよ。
そう思うとゾッとする。
何せ私は昔から生理中は魔法の制御が効かず暴走させる事しばしば。
叔父からも生理中は極力魔術は控える様に注意されている。
多分あれだ。
生理痛のせいで制御が難しくなるんだよ。
人によっては魔力が弱くなるとかあるみたいだけど、私は逆で初めて暴走させた日に叔父から「災厄が降り注いだかと思った」と言われた程だ。
あの日はたまたま郊外の山林でピクニックをしながら魔法の練習をしていたのだ。
今では見晴らしの良い……草原になっている事だろう。
何処か遠い目になり、そう思い少し考えてしまう。
あの時は国で一番の魔術師団長が防御してくれたからあの程度ですんだのだ。
ヤバいよね。
何せ相手は王族。
怪我だけなら(怪我も良くはないが)何とか誤魔化せるだろうけど……。
そう考えている内に試合が終わり何時もの様にジャックの家の料理を頂きにアイザック共々移動する。
さて、午後をどうやって切り抜けるべきか。
心なしか下腹部が痛くなってるし……。
お読み頂きありがとうございます。
また読んで頂けたら幸いです。




