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3人で初のお茶会

ちょっとお約束的な展開ですみません。

楽しんで頂けたらと思います。

「殿下お茶が参りました」

そう言うと私はウェイターからトレーを頂くと其のままテーブルへ紅茶のセットを並べた。

「お菓子は何れを取り分けましょうか?」

数種類のタルトが並んでいる為、殿下にお伺いを立てる。

「苺と洋梨を各々取ってくれ。ジャクにはレモンチーズのタルトを」

「はい。畏まりました」

頷くやてきぱきと皿に取り分けて渡す。

「ミッシェルも好きな物を食べて良いよ」

アイザックはにこやかに勧めて来る。

「それではお言葉に甘えて」

そう言うと私は全ての種類を皿にこれでもかって位取り分けた。

その様子を顔を引きつらせながらジャクが見入っている。

「甘い物好きなの?」

アイザックは優しく問い掛けて来る。

「はい。大好きです」

胸を張って言うと、アイザックはアルカイックスマイルで応えた。

「そう。なら遠慮せずにもっと食べて良いよ」

言葉は優しいのだが、何処と無く感情の籠らない声でアイザックは勧めて来た。

あれ?

何か地雷でも踏んだかな?

と思いながらも此方はニコリと笑顔で応えた。

今は授業も終わり、アイザックがジャクと私を引き合わせたいと放課後のカフェでお茶会をしている。


お茶が少し進むとジャクが私に話を振ってきた。

「ミッシェルは誰とも一緒にいる所を見た事がないけど、誰かと交流を持とうとは思わないの?」

突然脈絡の無い問い掛けにゴクリと口に入れていたお菓子を丸飲みしてしまう。

しまった…味わってない。

少し後悔。

「貴族と言えない者と交流する意味が無いと断られました」

素っ気なく事実だけを述べた。

「それって皆に?」

アイザックは目を細めながら聞いて来る。

「いえ全員に聞いた訳ではないです。一応伯爵位以上の方達にですが。どちらも断られました」

あの父の事だ。

自分の結婚相手の爵位には拘るだろうと言う意味合いだ。

なら私も探りを入れるならその辺りにと目星を付けて声をかけたのだが…。

「どちらもって?」

更にアイザックが優しく問い掛けて来た。

「男女どちらもと言う事ですが」

こいつ節操がないのか?ジャクはミッシェルを冷ややかな目で見つめた。

容姿は良いのに中身が残念なんだな。

そう自分で結論付けたジャックはアイザックの方を見た。

「貴族は矜持の高い者が多いからね。気を悪くした?」

それでも優しく問い掛けて来る。

噂に違わず温厚な完璧王子振り。

さっきのあれさえなければ私も騙されていた所だよ。

「いえ。大体の予想通りでしたので良いです」

「そう?でもこれからは私達が伴にいるから大丈夫だよ」

ニコリと王子様スマイルで言われてしまう。

眩しいです王子。

そんな風に笑顔振り撒くと勘違いする令嬢続出しちゃいますよ。

あっそうか。

今の私は男装中だからそう言う意味じゃないんだ。

それにアイザックって案外腹黒っぽいし。

令嬢相手だとどんな風になるのか是非今度観察して見よう。

完璧な紳士の手本になるぞ。

と、不届きな事を考えてしまう。

「そうだね。アイザックが気に入ったのなら私は何も言わないよ。これから宜しくねミッシェル。私の事はジャクと呼んで」

ニコリと爽やかな笑顔をくり出すジャック。

うっ!こちらも眩しい。

そう言うジャクの容姿はアイザックと良く似ていた。

金髪にグレーの瞳の彼らは小さい頃良く入れ替わって遊んでいたとの事である。

けどね。

多分アイザックの方が顔は良いけど性格悪いからね。

「こちらこそ宜しくお願い致しますジャク」

半場顔がひきつる。

「じゃあ、私の事もアイザックと呼んでくれるかな?」

ジャクに便乗して私もと乗り出して来るアイザック。

無理です殿下。

少し遠い目をしているとアイザックは「くくく…」と微かに笑いを漏らす。

私はそんなアイザックをスルーしつつ先程味わえなかった苺のタルトを一口口に放り投げた。


何これ美味しいんですけど!


思わず口に手を当てとろけそうな味を堪能していると

「そんなに美味しい?」

とアイザックが問うて来た。

「はい。大変美味しゅうございます」

それを聞いたジャクは思いっきり顔をひきつらせたのに対してアイザックは爆笑してしまった。

一頻り笑っていたアイザック。

「ミッシェルやっぱり君は面白いね。私の目に狂いはなかったよ」

腹を抱えて笑う殿下ってどうよ?と思う。

何がツボに入ったのだろうか?

そう考えていた所へジャクがため息混じりに応えを教えてくれた。

「ミッシェルの先程からの所作なんだけど、男性と言うより女性の所作なんだよね。アイザックはずっと君の手を見ていた様子だったから」

「所作ですか…」

幼い頃から叩き込まれたものだ。

自分で直す何て無理だな。

アイザックには『おネエ』と思われている様だしこのままそれで通して、そんな自分でも好きだって思ってくれる殿方を探せば良いかも‼

うん。

私って冴えてる!

通常なら全て突っ込み所の多い考えだが如何せん深層の令嬢として育てられたミッシェルは何処までも天然な考えだった。

「ジャク余計な事は教えないで。私の楽しみが減ってしまうよ」

キッとジャクを制したアイザックはそのまま私の方を見た。

「ミッシェルはこのまま(おネエな所)変わらないでね。君を見ていると(今までこんな面白い友人いなかったから)とても楽しいんだ」

アイザックは努めて紳士的に話し掛けて来る。

何か所々変な意味を含めている様だけど気にしないでおこう。

「ミッシェル。私は君を結構気に入っているんだ。これからも良き友になってくれるね」

再びの王子様スマイルに思わず赤面してしまう。

それを見逃さない様にアイザックはミッシェルの耳元まで顔を寄せて来た。

「嫌だって言ったら分かっているよね」

辛辣なセリフにゾクリとする。

顔を青くしつつ了承の言葉を告げるとアイザックは満足した様子で再度打診して来る。

「では私の事もアイザックと呼んでくれるね」

高圧的な言葉に只俯くしかなかった…。

この性悪め!!!

苦虫を噛み締めた様な顔で応えるとアイザックは再び腹を抱えて笑いこけた。

レディに対して大概失礼ですよ殿下。

と思うものの今は男装中だった。と気持ちを切り替える。

本当に男ってわからないわ~。

ミッシェルは天を仰ぎ見た。


お茶会の最後にアイザックから爆弾が投下された。

「来月私の婚約者の父の誕生会がある。ミッシェルにお願いがあるのだけどジャクのエスコートを受けてくれないかな。勿論女装してね」

満面の笑みでお願いして来るアイザックを私とジャクは顔をひきつらせて聞いていた。



お読み頂きありがとうございます。

また読んで頂けたら幸いです。

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