結局改善していませんよね4
アイザック視点の話になっております。
宜しくお願いします。
何故ミッシェルを前にすると自分らしく出来ないのか……。
吐き捨てる様にミッシェルへ言葉を投げつけ、逃げる様に踵を返した。
ケイティと仲良くするミッシェルを見ると何故か胸がムカムカした。
何故かミッシェルを滅茶苦茶にしてやりたい程の衝動にかられる。
最初は、政略結婚の相手だろうとケイティが他の男と仲良くするのが許せないからだと思っていたが、ケヴィンと仲良く話すケイティを見ても心が揺れる事はなかった。
何故なんだ?
そう思うも、このイライラのせいでミッシェルに当たってしまった自身にもイライラする。
『らしくない』
と言えばそれまでだが、何故か心がザワメキ自身を持て余す。
いつからこうなのだろうか?
そう思いジャックの所まで戻るとぶっきらぼうに
「今日はこの辺にして戻ろう」
それだけを告げた。
勿論王族の私がそう言えばケヴィンは御者を呼び帰り支度を始める。
ケイティがつまらなそうに文句を言うが知った事ではない。
私の後から戻ったミッシェルがケヴィンに一言二言話をすると軽く肩を竦める。
何とも形容し難い感情が沸き起こる。
誰かに自分の感情を左右させられるのなんて初めての事で、私はその時自分の身の置き場に困った。
ラハン公爵家からの帰りがてらジャックにそれとなく今日の憤りを話した。
「多分それは『飼い犬に噛まれた』と言うものではないでしょうか?ミッシェルはアイザックの下僕。小間使いです。そんな者が主の伴侶になろうという者と親しくするのは些か問題かと」
「そうなのか?」
ジャックはそう言うが、少々疑問ではある。
「そうです」
尚も断言する。
「では、今後はどうしたら良いと思う?ケイティ嬢には既にミッシェルと距離を置く様に話したが断られている」
あの膨大な手紙のやり取りで……。
少し考えているとジャックが名案とばかりにアイザックに進言して来る。
「彼方が駄目なら此方です。ミッシェルの方を引き離せば良いのです。早速次の休みに呼び出しましょう」
なるほど、そういう手もあったな。
「分かった。何か良い口実を考えよう」
そう考えると何故か先程までの鬱屈とした気分が晴れる。
高揚する気持ちを押さえながら私は帰路に着いた。
お読み頂きありがとうございます。
また読んで頂けたら幸いです。




