結局改善していませんよね2
目的地に着くと馬車からアイザックが降り、ケイティの手を取りエスコートする。
勿論私には誰も手を差し伸べてはくれない。
チッ。
『本当なら私もお兄様にエスコートして貰えるはずだったのに』
今は一人でステップを踏む羽目になる。
色んな意味で使えない王子。
そう思うと思いっきり半眼になってしまう。
そんな私と一瞬だけアイザックの目が合った。
うあっちゃ~。
また変な勘違いしてないよね。
私の懸念を表す様にアイザックに睨まれる。
神に誓って私は間男じゃないのに。
何で睨まれなくちゃいけないの?
大体失敗したのはそっちだよね。
脳内で盛大に抗議している間に御者が湖畔の畔に大きな布を敷きお昼の準備を整える。
「少し早いですが食事をしながら休憩しましょう」
兄はそう言いながらアイザックを促す。
「さぁ。アイザック殿下。此方が上座になります」
兄はそう言うとあからさまにアイザックを誘導する。
その結果。
上座にアイザックとジャックが、下の席にケイティを挟んで私達兄妹が座るという奇妙な座席になる。
「何故この様に対面式になっているのだ?」
アイザックが眉間をピクピクさせながら兄に問う。
「王族の隣に並ぶなど畏れ多い事です」
慇懃にそう述べる。
気のせいか、兄はアイザックに喧嘩を売っている様に思えてしまう。
私だって王族相手と思い何時も我慢しているのに。(ミッシェルがそう思っているだけで結構失礼な態度をとっている)
そう思うとため息が出てしまう。
げんなりしているとケイティがお茶を淹れて皆に渡している。
しまった~!!
ゲストに給事をさせてしまった。
幸いにしてケイティのお茶の分でお湯が切れてしまった。
「ケイティの分は私が淹れるね」
そう言いながらケイティからティーサーバーを受け取ると御者からお湯を貰いケイティのカップへと灌ぐ。
「ありがとうミッシェル」
嬉しそうに礼を述べるケイティに「どういたしまして」と微笑む私。
コホンと咳払いがしてそちらを振り向くと……
ゲッ
アイザックとジャックが滅茶苦茶機嫌悪い。
再びアイザックと目が合うと一瞬にして微笑まれた。
あれ?
機嫌良い?の?
さっきのは気のせい?
そう思っていると
「私の婚約者にお茶を淹れてくれてありがとう」
……
笑顔が怖いんですけど。
「ドウイタシマシテ」
棒読みの様な返事をしていた。
もうお家に帰りたい……。
マジに思う。
お読み頂きありがとうございます。
また読んで頂けたら幸いです。