9.予想外の出来事
珍しく2週間ほどで次話投稿です。本当は週1で書けたらいいんですけどね…(´・ω・`)
「さてと、さっきみたいに突っ込んでいっても多分ダメだよな。あんまり得意じゃないけどカウンター狙っていくか」
「ガルルル…ガウッ!」
「おっと!いきなりかよ!」
俺は飛びかかってきたウルフを半身になってかわすと脇腹を切り上げた。
「キャイン!」
切られたウルフはそのまま光の粒になって消えていく。
「まずは1匹、残りは4匹か」
「グルルル!」
仲間を倒されて怒っている様子のウルフが両脇から噛み付こうと迫ってきた。俺はギリギリのところまで引き付けてから跳躍して噛み付きをかわすと、着地しつつ1匹のウルフの首を切りつけた。 どうやらクリティカルが決まったらしくウルフは一撃で倒れた。
ちなみにクリティカルとは、モンスターの弱点に攻撃を加えた時に、稀に一撃でモンスターを倒せることだ。モンスターによって弱点は違うが、人形MOBの場合は首など、多くの場合はMOBの系統によって決まっている。
「よし!これで残り3匹!いけそうだな!」
「アオォォォーン!!」
俺が残りの3匹も倒せそうだと思っていた時、ウルフリーダーが急に遠吠えを上げた。
「グル!」
「いって!なんだ、急に動きが早くなったぞ!?」
俺はHPを確認するが、今の一撃で6割程度のところまで削れている。
「攻撃力もあがってるし、さっきの遠吠えはステータス上昇系のスキルだな!」
再度飛びかかってきたウルフの攻撃をなんとかかわしながら一撃を返すがウルフのHPがほとんど減っていない。
「スピードと攻撃力上昇に加えて防御力上昇の効果まであるのかよ!」
俺は一度距離を置いてスペルを詠唱する。
「今だ!『ダークバレット』」
「キャイン!」
近づいてきたウルフに向かってスペルを放つと、ウルフは光の粒になって消えていく。
「ん?もしかして上昇しているのは物理防御力だけか?ならもう一回『ダークバレット』!」
俺は飛びかかってきたもう一体のウルフにもスペルを放つ。スペルを受けたウルフは先ほどと同じように倒れた。
「やっぱり魔法防御力は上がってないみたいだな。よし、これであとはお前だけだ!くらえ『ダークバレット』!」
俺は最後に残ったウルフリーダーに向かってスペルを放つが、なんなく避けられてしまった。
「くそっ!MPも残り少ないのにこれじゃ当たらない!」
俺のMPは残り少なく、あと2回程スペルを使えるくらいしかない。どうする…物理攻撃は効かないみたいだし、スペルは当たらない。あぁ、もう魔法攻撃力のある物理攻撃が出来たらいいのに…って俺は何を言っているんだ…。ん?もしかしてできるんじゃね?【魔力操作】ってアクティブスキルだよな?魔力っていつもスペルを使う時に体の中を動く妙な感覚のことかな。手に集めるようなイメージをすれば…おっ!出来た!これを体の外に出して剣の形に出来ないかな…うっ、体の外に出すと制御が難しい。てか、こんなガスみたいにフワフワしたままじゃ切れないな。あっ、そうだ。剣の形に出来ないなら剣に纏わせるようにすればいけるか?俺は残りのMPを全て注ぎ込むつもりで自分の持っている剣に魔力を纏わせた。剣が見えなくなるくらい濃密に魔力を纏わせた時、それは起こった。
「え、なにこれ」
剣に纏わせていた魔力が剣に収束するように吸い込まれていくと剣が輝き始めた。なんだろう…ただの店売りの初心者向けの剣のくせに、刀身が光ってるだけでやたらとカッコヨクミエル(厨二心)
「とりあえず成功ってことなのかな?よし、いくぞ!」
「アオォォォーン!」
俺は飛びかかってきたウルフリーダーを正面から迎え撃つ。
ズルッ
「ん?」
俺は、あまりの手応えの無さに驚いたが、目の前の光景を見て目を一度閉じてゆっくりと開き直す。うん、変わらないね。…ウルフリーダーの体が縦半分に綺麗に別れて光の粒になっていく。
「……えぇ〜…」
パキッ
「ん?何の音だ?って俺の剣が折れてる!?まだ耐久力8割はあったのに!もしかして、さっきの剣に魔力を纏わせたのが原因か?まぁ、どうせ店売りの安いやつだしいいか。次は折角だから 【鍛冶】スキル使って自分で作ってみようかな」
俺はインベントリに折れた剣を仕舞い、帰還符を取り出した。
「それじゃあ、今日はここまでにして帰りますか『帰還符』」
俺の視界は白く染まった。
参考ばかりにウルフリーダーのステータスを貼っておきます。
ウルフリーダー Lv.6
str:28
int:5
vit:17
dex:12
agi:31
《スキル》
【鼓舞Lv2】AS
パーティメンバー2人以上の戦闘不能時のみ発動可能。パーティメンバーのstr+20% vit(物理防御力のみ)+20% agi+25%
効果時間はスキルレベル×30秒。
【嚙みつきLv.5】PC
敵に嚙みつき攻撃を加えた時str+9%
ちなみに【鼓舞】の説明でパーティメンバーなどの表現があるのは条件さえ満たせばプレイヤーも取得できるスキルだからです。