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転生絵巻~テンショウエマキ~  作者: 木霊百合
一ノ巻.宿命(さだめ)
8/9

危機の前触れ

「人間、見ツケタ」



俄かに翔の耳元へと届く、不気味な声色。



「……誰?」



井戸水から目線を外し、体を強ばらせる。



「人間、殺ス?」


「何ぶつぶつ言ってんだ、隠れてないで出てこいよ!」



そうして二、三歩程後退し、翔は慎重に周囲へ目配せをしたーーその時。



「うわっ、何だ!?」



突如として地面から伸びてきた一本の蔦が、素早く翔の体を縛り付ける。


やがて近くの草むらから、一人の小柄な童子が姿を現した。


未だ幼さを残した無垢な瞳が特長的であったが、紅色に染まった皮膚は明らかに人のものではないと理解が出来る。



「だっ、誰だよお前! なんでこんな事ーー」



「マダ、子供」


「コイツ殺ス、意味ナイ」



そうして翔が声を発しかけていれば、次々と草むらから、仲間と思しき童子達が姿を見せる。


その数およそ二、三十体程度と言ったところか。



「目的、アソコ。コイツ、目的、違ウ」



そうして唐突に、一人の童子が指先を真っ直ぐに伸ばす。その方角は、村はずれの森の中に存在する天照神社の位置だった。


不意に小百合の姿が脳裏を過ぎり、翔は俄かに眉を寄せる。



「お前ら、小百合様に何をーー」


「コイツ、利用スル。ソレ、一番賢イ」


「利用って、どういうーー!?」



次の瞬間、翔を縛り付けていた蔦から白色の粉が舞い上がる。


それらが身体に覆い被さると同時に、翔は極度の眠気に襲われた。それは強く、堪え難い程のーー



「くっ……」



確実に、それが危機の前触れであるという事実を知りながら。抗う事も出来ず、翔は即座に意識を手放す。


近くで不気味に微笑む童子、もとい”鬼の姿”を、ただその場に残して。


翔は、そのまま深い眠りへと落ちていったーー

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