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転生絵巻~テンショウエマキ~  作者: 木霊百合
一ノ巻.宿命(さだめ)
7/9

素直になれなくて

一方、村外れの水汲み場にて。



「……はぁ、本当にしつこいよな、あの兄ちゃん」



水汲みに使用する桶を井戸の傍に置き、小さく溜め息を吐く翔。



……それでも、内心気付いてはいた。



自分の父親と母親が死んでしまったのは、決して千影のせいではない事。


千影を恨んでも、両親が帰ってくる訳ではない事。



そして何より、英雄とはあくまで(ほむら)の事であり、彼自身ではない事。



「分かってる。分かってるよ。でも……」



それを認めてしまったら、許してしまったら。自分の運命は、両親の死は、”仕方のない事”として諦めるしかなくなる。


たとえ強情だと分かっていても、素直じゃなかったとしても。翔には、反発する以外の選択肢が思い浮かばなかった。


誰かのせいにしなければ、その事実がなくなってしまうような気がしたから。



それでも、やはり千影には悪い思いをさせてしまったと。翔自身、心の奥底で申し訳なくは感じていた。そうでなければ、こうして千影の事を考える必要もない。



「……話くらい、聞いてやるべきーーだったかな……」



ポツリ、井戸水に映る自らの姿を眺めながら。


翔はそう、自分に言い聞かせるように呟く。少しくらいは、自分も素直になるべきなのかもしれない、と。



ーーその時。

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