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4代目勇者

やぁ魔法使いマーリンだ、あけおめ。


私達の世界にも新年と言う概念はある、異世界から来た勇者達の風習を取り入れカオスになっている国もあるが大抵の国の商人達は喜んでいるよ。


そういえばこの間4代目勇者が新年の挨拶にやってきた。

髪の毛が前に向かって伸びた不思議な髪形をして寒いのか白いコートを着ていたよ、背中には勇者文字が大きくかかれていたな。


子供達にオトシダマといってお菓子をあげていたな、子供好きなんだろう。

子供達も懐いていたので昼食に誘ったのだがその際酒に酔った彼から面白い話が聞けたよ。

彼は元の世界では結構な商家の息子だったらしい、だがその店を部下の裏切りで奪われてしまったそうだ。

その時の心労でご両親は他界してしまい彼一人で生きる事を強いられた。

そして丁度私に呼ばれた時に彼は両親の仇である男に復讐を果たした後で役人に追われていたらしい。

私に召喚されたことで追っ手から逃れる事が出来たと笑っていたよ。


その後はみんなも知っている通り山賊の頭目になったそうだが実際は少し違った。

彼はいわゆる義賊と言うやつで悪事を行っている商人や貴族しか襲わないそうだ。

違法な品を売りさばく商人の馬車を奪ったり、悪徳貴族に陥れられて奴隷になった者達を救ったりしていたそうだ。

貴族に楯突いたら軍が出され討伐されるのが常識だが奴隷にされた者の中には他国の貴族令嬢や異種族の指導者層の娘も多く居たらしく彼女達にゆかりのある貴族達から秘密裏に取引を持ちかけられ国は軍が出せないようだ、つまり「うちの娘を助けた恩人を捕らえたりしないよな?そもそもそれをやったのはお前の所の貴族だよなぁ?」と言うことらしい。


なぜ彼がそんなことを知っているかと言うと、救われた奴隷の中にはそういったことに詳しい者も居て親元に戻った後も彼に情報をくれるらしい。

そんなわけで彼は今も山賊を続けているわけだ、幾つかの国からは家族を救ってもらった恩から貴族にならないかと誘いが来ているらしいが権力者が嫌いな彼は断り続けているらしい。

それも彼の過去のトラウマから来ているのだろう。


しかしこれだけ慕われる者をいつまでも山賊にしていてはいつか取り返しの付かない事態になるのは明白だ、最悪彼の最後が原因で戦争が起きるかもしれない。

酔っ払って寝てしまった彼が目を覚ます前に何か良い案が浮かばないものか。


翌朝彼が目を覚ました時に私は言った、自分の国を作らないか?と。

彼は笑って柄じゃないといってきたが私はそうは思わなかった。

彼には間違いなく人を惹きつけるモノがあったし多くの部下に慕われていた。

だから私はこう言った、今のままだと君の部下が君の巻き添えで死ぬぞと。

少々ズルイ言い方がだそうでも言わないと彼は自分の身の振り方に対して真剣に慣れなかったからだ。

私は彼に噛み砕いた説明をする、人の来ない土地に部下を連れてそこを開拓し国を作れば良いと、その為のサポートも私がするといったら彼にいぶかしがられたのでこの世界に呼んだことに対する当然のフォローだといってごまかした。

結果彼は私の提案を部下と共に考えるといってくれた。

部下が絡めば彼とて慎重になる、きっと次に来る時には彼は人を導くものの顔になっている事だろう。


結果から言うと彼は今多くの人を導く存在、王になった。

他国が手を出せない危険な土地を領土として虐げられた人たちを国民として彼らと共に新天地の開拓をする事を選んだのだ。

まぁ危険といっても私が手を貸しているので危険は大幅に減ってはいるが。


そんな彼も来年の春には親になる、7児の親だ。

そう7児だ、どこからか彼が国を持つと聞きつけた元奴隷の女性達が彼の元に押しかけ女房にやってきたらしい、なんとその中には某国の王女まで居たというから驚きだ、姫をトリコにした彼の魅力に驚くやら他国の王女を奴隷にして好き勝手しようとしたバカ貴族の欲深さと思慮の足りなさに驚くやらだ。


不遇の人生を送ってきた勇者の前途に幸あれ。

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