表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

8代目勇者の召喚事情

やぁ久しぶりだね、私は魔法使いマーリン、なに?そんなこと知っているって?

それは失礼。


実は想定外の客が来てね、その後始末でゴタゴタして日記が滞っていたんだよ。

なに?四代目勇者の話はどうなったって?

ふむ、それも良いが今はネタが新鮮なうちにこの話を書いておこうと思う。


それは8代目勇者の話だ。

新たな魔王が発生したのですぐ使える様に圧縮しておいた勇者召喚の魔法を解放発動する。

事前に術式を構築してそれを特殊な符に圧縮することで符に魔力を通せばすぐに魔法を発動させることが出来るようになったのだ。


私が召喚した時、彼はずぶ濡れでパンツとブラジャーを持っていた。

一瞬送還呪文を研究しようかと思ってしまった。


なんでも彼は悪質な天使に命を狙われていた最中だったらしい。

毎日のようにトラックという危険な魔物をけしかけれてギリギリの日々を送っていたとの事だ。

異世界と言うのもずいぶんと物騒な場所だ。


ある日彼を襲うトラックが現れなくなったらしい。

彼はとうとう諦めたかと喜んだらしい。

だがそれは罠だった、今度はトラックの変わりに鉄骨と言う危険な鉄の柱が降ってきたらしい。


空から無数の鉄骨が降り注ぎ8代目勇者は死に物狂いで逃げたそうだ。

そして逃げた先でもビルと言う建物から鉄骨が飛び出して襲い掛かり、降り注ぎ、

橋があれば鉄骨がはじけ飛び襲い掛かってきたらしい。


鉄骨と言うのはゴーレムの一種なのだろうか?

彼は鉄骨のないところに逃げた、そして河に追い込まれた。

河の下流から産卵の為に遡上してくる魚のように身をくねらせながら大量の鉄骨が泳いで来る。

そして堤防の上からも鉄骨が芋虫のように這いずりながら下ってくる。


やがて鉄骨たちは自ら組みあがって8代目勇者の周囲をぐるりと囲むように鉄橋が完成した。

鉄橋の下を8代目勇者がくぐろうとしたら落ちてくる仕組みらしい。


8代目勇者が絶望に打ちひしがれた時件の天使が現れた。

過去に8代目勇者から受けた不覚を再び取らないように空にとどまりながら勝利宣言をし彼の命を奪おうと

したらしい。


だがその姿に怒りを覚えた彼は絶望を心の炉にくべ反撃に転じた。

降り注いでくる鉄骨の上に飛び移り襲い来る鉄骨を挑発して更に上に上に上っていき鉄骨の塔を作ったのだ。そして彼は勝ち誇る天使の足を掴みその体にしがみつくことで更に天使の体をよじ登りその際にパンツとブラジャーを奪ったらしい。


彼は偶然と言っていたがしっかりと畳んで懐に収めたので私はそっとしておくことにした。


空中でもみ合った際にバランスを崩して二人とも河に落下、そのまま泳いで逃げようとした所で私に召喚されたと言うのが事の顛末だ。


私は彼に召喚を行った理由を説明すると彼はトラックに撥ねられなくても良かったのかと憤慨して私の家から出て行った。

彼を追うようにいつもの王国の使者が追いかけていったがそれは私の関与するところではない。


だが話、しはそれで終わりではなかった。

彼らが去って暫くした後召喚魔方陣がひとりでに起動を始めたのだ。

私は驚愕した、異世界の門を外部の者が何の導きも無く開放することなど不可能だからだ。

私は即座に各種戦闘術式を展開し何者かが転移してくるかを警戒した。


だが現れたのは予想を裏切る存在だった。


私の前に現れたのはずぶ濡れになった美しい女性だった。

その背には純白の翼が生え金の髪は黄金の様に輝いていた、おそらく8代目勇者の語った悪質な天使だろう。


だが私にはその姿を凝視することはためらわれた、なぜならその女性は下着を着けていなかったからだ。

何があったのかは予想できるが服が破れていて見えてはいけない部分が丸見えだったのだ。


彼女は聞き覚えのない人物の名を叫んで周囲を見回した。

私の姿を確認すると私にその人物を知らないかと肩を掴んで問うてきた。

流石にこの状態で会わせるのは色々と危険なので、

私は自分の着ていたローブを天使にかけてやり体を乾かす方が先だと諌める。


天使を風呂に案内したあと妻に頼んで着替えを用意してもらい天使の服をつくろって貰うことにした。

風呂から上がった天使に妻の服を貸し、温かい飲み物を差し出す。

そのまま服を直すまで待って貰うことにして、今日は泊まらせた。

翌日天使は直した服に袖を通して私達に礼を言った後、8代目勇者を追って空のかなたに飛んでいった。


一晩私の家に泊まった彼女は8代目勇者のことを聞くのを忘れてしまったらしく明後日の方向に向かって飛んで行った、彼女は一体何処に行くつもりなのだろう?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ