表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

初代勇者のその後

勇者と入力したら夕シャアと変換された。

久しぶりだね諸君、魔法使いのマーリンだ。


さて前回で勇者達のお話は終わったといったな。


あれはウソだ。


要望があったので彼等の話しをしよう、そう初代勇者の話だ。

彼等のその後の話だ、

なにそんなに長くは無い、せいぜいカップラーメンのお湯が沸くまでの時間だ。


王国に召し抱えられた初代勇者は国王に頼まれて魔王討伐を引き受け準備金を貰い旅の準備を始めた、

だが王国から与えられた準備金は金貨10枚、君達の世界の価値で50万円ぐらいだ。

その金額は使命の困難さと反比例する程度のはした金だったといえよう。

だが初代勇者はその事実に気付かず王国の使者の言う通りに酒場で仲間を集めることにした。


だが考えて見て欲しい、魔王を倒し世界を救おうとするのなら酒場にいる連中などより王国の選りすぐりの精鋭を仲間につけるべきではないだろうか?

そう、結局のところ王国は我が身可愛さに精鋭騎士達を温存することを選んだのだ。

そして勇者の入った酒場は傭兵酒場、つまり有料で戦う者達のたむろする場所だ。

初代勇者も驚いただろう、共に戦う仲間が救世の志を持つ勇士ではなく金目当てのゴロツキだったのだから。


更に間の悪いことに初代勇者の授かった勇者の奇跡、通称勇者チートが問題を困難にさせた。

勇者チートとは異世界から召喚された勇者が世界を救う為に聖なる精霊から授かる奇跡の力だ。

ちなみに勇者チートの名付け親は初代勇者だ、チートとは彼の世界い存在する勇壮なる獣と凡百の民を寄せ付けぬ圧倒的な力を持つ者の名を掛け合わせたらしい。


初代勇者の勇者チートは経験共有、

この能力は共に戦う仲間達の得る経験を共有することだ。

たとえば8人パーティで徒歩で4人馬車に4人居たとして、

徒歩の4人が魔物と戦うとその戦闘で得た経験は馬車の4人を含めて全員に分配される。

控え要員にも経験が手にはいる非常に優秀な能力だ。

メンバーの人数は初代勇者が判別できる人数までと言う非常にあいまいなものだが上手く使えば数十人単位で経験を共有できる。


しかし人間は狭量な生き物、傭兵達の大多数は自分の得た経験を戦いもしなかった他者と分け合うのはまっぴらゴメンと初代勇者の要請を断ったのだ。

まったく持って愚かな連中である、初代勇者の能力を上手く使えば冒険のロスが大幅に短縮できることに気付かなかったのだ。


素人を10人雇い、まず5人で戦う、残った素人5人は怪我をせずに仲間の経験を得ることが出来る。

その経験でレベルの上がった5人を交代し最初の5人は休憩と手当てをする。

これを繰り返せば安全マージンが大幅に上がりレベル上げ時間の節約にもなる、

何しろ本来休む時間も仲間がレベル上げをしてくれるのだから。

とくに魔法や技の習得速度が驚くほど短くなる。


それに気付く者は王国の騎士団にすらおらず結局勇者が雇えたのは金目当てのボッタクリ傭兵だった。

ぼった繰られた初代勇者は次の町に着く頃には傭兵への給料ですっからかんになり契約を破棄されてしまった。

魔物から得た換金可能な部位は給料の未払い分として全部持っていかれたしまったらしい。


そうして一人で戦うことを余儀なくされた勇者だったが捨てる神あれば拾う神あり。

影から初代勇者の動向を監視していた者達が居たのだ。

彼らは隣国の諜報員で初代勇者の勇者チートのことも傭兵酒場で勇者が話すのを聞いていた。


彼等は王国に無茶振りをされて仲間にも捨てられた初代勇者を自分達の国へ勧誘した。

どうせ失うものは無いと初代勇者はヤケになって隣国に連れられて行った。

結果としてその選択は大正解で、初代勇者は隣国の騎士団に召抱えられた。

その後隣国は初代勇者の勇者チートで世界有数の大帝国と呼ばれるまでに発展する事になる。


初代勇者の勇者チートは騎士の育成だけでなく魔法使い、神官、城で働く文官、果ては魔法研究や武具の開発を行う研究者まで巻き込んで鍛錬を行ったらしい。

そのお陰もあって隣国は経験豊富なベテランを多数有するようになった。

この件で一番大変だったのは剣技や魔法だけでなく書類仕事、鍛冶仕事、果ては料理までやらされた初代勇者その人だろう。


その功績を称えられ初代勇者は貴族の地位を下賜しその力を他国に渡さぬように大物貴族の娘を妻に娶ることとなった、要するに囲われたのである。


そんな初代勇者のどん底に落ちてからの成り上がり人生を書いた演劇や絵本、英雄譚は人々に長く愛されるベストセラーになった。



初代勇者の話しはこれで終わりだ、気が向いたら次は4代目勇者の話しでもしよう。

それではさらばだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ