【童話】灰が降る町(4)
ふもとの町の人たちは、こんなことになったのは自分たちのせいだと思って、山に向かってあやまりました。
「山の神様、前はひどいことを言ってごめんなさい。ふんかをがまんさせてしまったばっかりに、こんなことになってしまった」
「動物たちや植物たちにもめいわくをかけてしまった。本当にごめんなさい」
「もう、私たちのことを気にせずに、毎日ふんかしてください」
ふもとの町の人たちは自分たちの身勝手さを心のそこからはんせいしました。
(もっと、ゆたかな生活がしたい…。そのためには大きいだいこんと小さなみかんを作っていては豊かになれない。工場でりっぱなきかいを作れば、モノがたくさん売れて豊かになれる)
そうやって、たしかに生活はゆたかになりました。車やテレビなどのモノにかこまれた生活です。しかし、山はふんかできずに苦しい思いをさせました。動物たちや植物たちは灰がふらないため、生きることもできなくなりました。やっと、ふもとの町の人々はまちがいに気づいたのです。
「でも、そしたら、ふもとの町の工場ではもう機械がつくれなくなるよ」
「もう、いいんだ。機械なら工場があれば、どこでも作れる。でも、とても大きなだいこんと、とても小さなみかんは、ここでしか作れない。私たちはみんなで話し合って、まただいこんとみかんをつくろうと決めました」
町で一番えらい人である町長が、ふもとの町の人たちを代表して言いました。
「私たちは今まで自分たちのことしか考えてこなかった。これからは動物や植物などの自然のことも考えていかないといけないことにやっと気づいたんです。山の神様、これからはむかしのようになかよくくらしていきましょう」
山はうれしさのあまりにいきおいよくふんかしました。でも、もうだれももんくを言いません。
ふもとの町ではむかしと同じように、とてもおおきなだいこんと、とても小さなみかんが作られています。山が毎日ふんかするので、だいこんもみかんもすくすくそだちます。ほかの動物たちも植物たちも山がふんかするたびにすくすくそだちます。
そうやって、ふもとの町では山と人間と動物と植物がこれからもずっとなかよく、くらしていくことでしょう。この物語のつづきが気になったときは、ぜひ、ふもとの町へ遊びに来て下さいね。