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短編集  作者: あまやま 想
【童話】灰がふる町
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【童話】灰が降る町(2)

 ところが、おさむらいの時代が終わり、ふもとの町ではとても大きなだいこんと、とても小さなみかんのかわりに工場がたてられました。今まで畑で働いていた人達は工場で車やれいぞうこ、テレビなどを作るようになりました。


 畑でだいこんやみかんを作る時には灰はなくてはならないモノでしたが、工場で車やれいぞうこなどを作るときはじゃまでした。機械に灰が入ると、車やれいぞうこなどはこわれてしまうのです。


 神様として大切にされていた山は、いつしか人々からきらわれるようになりました。


「もう、またふんかしている。おかげでせんたくものが外にほせないよ」


「灰がふると、目がチカチカするし、息ができないよ」


「よし、みんなで山に行って、もうふんかしないようにおねがいしよう」


そうして、みんなで山に行って、もうふんかしないようにお願いすることになりました。


 いつものように元気よくふんかしていた山は、急に数え切れない人が山にやって来たのでビックリしました。


 ビックリしたので、もっといきおいよくふんかしました。山にいた人も急に灰がたくさんふってきたのでビックリ!


「うわっ、山がいやがらせしてきたぞ」


「ちがうよ。ボクは元気よくふんかしているだけだよ」


「おい、山! たのむから、もうふんかするのやめてくれ! 灰がふるとそうじが大変なんだ…」


「ボクがふんかすると、みんなよろこんでいたはずだよ。ボクの灰を使って、とても大きなだいこんと、とても小さなみかんを作っていたじゃないか…」


「それはもう昔の話なんだ…。今はもうだいこんもみかんも作っていない…」


「今は工場で車やれいぞうこ、テレビなんかを作っている」


「機械に灰が入ると、機械がこわれてしまうから、大変なんだよ…」


 みんなの話を聞いて、山はがっかりしてしまいました。むかしはボクがふんかするとよろこんでいたのに…。山のふもとでたくさんの人がもんくを言っているのを見て、元気がなくなりました。


 次の日から山はふんかしなくなりました。みんなはとてもよろこんで工場で車やれいぞうこ、テレビなどを作りつづけました。ふもとの町の工場で作った機械は、とても使いやすいので遠くの町から買いに来るほどでした。

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