13/21
【童話】灰が降る町(1)
むかし、ある所にいつもふんかする山がありました。そのため、山のふもとの町にはいつも灰がふっていました。
ふもとの町ではつもった灰をつかって、とても大きなだいこんと、とても小さなみかんを作っていました。とても大きなだいこんと、とても小さなみかんはとてもおいしいとひょうばんで、遠くの町から買いに来る人がいるほどでした。
とても大きなだいこんと、とても小さなみかんは灰のふる町の畑でしかつくることができないので、ふもとの町では山を神様としてまつっていました。ふもとの町は灰のふる町の名物となりました。
山はふもとの町で大きなだいこんと小さなみかんを作る姿を見て、よろこんでいました。ふもとの町の人々も山がふんかするたびによろこんでいました。
「山の神様、いつもふんかしてくれてありがとう。おかげで、今年もおいしいだいこんやみかんがたくさんとれそうだ!」
「ぼくもうれしいよ。みんながよろこんでくれるから。ぼくがふんかすると、人間だけでなく、動物たちも草花たちもよろこんでくれし、元気になるんだ」