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メインストーリートへ行こうよ

待ちに待った週末。なかなか興奮して眠れなかった僕は、ベットの中でウォーロックを読んだり、まったくクリアーする気配が見えない暗黒教団の陰謀などをやってたりしてたら、眠りに落ちたのは二時頃であった。

 それでも目覚ましより先に目が覚めるとは・・・・・・。恐るべし我がゲーム魂。

 朝食を食べるために階段を降りると、リビングでは母がコーヒーを飲んでいた。

「あら今日は日曜日だというのに、ずいぶんとお早いお目覚めね」

「わざとらしいよ、母さん。今日僕が早く起きるの知ってるでしょう?」

「えっ、今日何かあったかしら」

 母は顎に指を当て考え込んだ。

「母さんが仕組んだのに忘れてるの。遊園地だよ、遊園地」

「遊園地?」母は怪訝な顔で呟く。

「鷲尾に遊園地のチケット渡したでしょう、僕を外に連れ出させるため」

「お母さん朱美ちゃんに遊園地のチケットなんて渡して・・・・・・」

 母は急に口をつぐんだかと思ったら、何か思い出したらしく手をポンと叩いた。

「ああ、渡した。渡した。朱美ちゃんにたしかに遊園地のチケット渡したわ」

 母はようやく思い出したようだ。相変わらずいい加減な人だな。

 それにしても何で母さん、僕の顔を見ながら何ニヤニヤしているのだろう?

「なに僕の顔を見てニヤニヤしているの母さん?」

「別に――。なんでもないわよ。それより響、朱美ちゃんと遊園地に行くんだったらお小遣いとか大丈夫? ほらお母さんが五千円あげるから朱美ちゃんにお昼ご飯でもおごってあげなさい」

「いや、いいよ。今日は遊園地じゃなくてゲームやりに行くことになったから」

「ゲームってこれ」

 母はサイコロを振る仕草をした。その仕草は鷲尾そっくりだった。

「正確に言えば違うけど、まあそれだよ」

「爽やかな日曜日にゲームねぇ。それにゲームならばどうせ祖父江君もいるんでしょう?」

 僕が頷くと「朱美ちゃんも可哀想に・・・・・・」と母は呟いた。

「祖父江君はエキセントリックだけど悪い人じゃないよ」

「母さんはそういうこと言ってるじゃないの。朱美ちゃんだって年頃の娘なんだから、デートの時ぐらい二人きりで行きたいでしょう」

「かっ、からかわないでよ、母さん。僕はただ鷲尾とゲームやりに行くだけだから」

「まあ恥ずかしがるのもよくわかるけど、響ももう中学生なんだから、祖父江君とゲームばかりしてないで、たまには朱美ちゃんをデートに誘ったりしたらどうなの?」

「だからそういうじゃないんだってば・・・・・・」

 これ以上母にからかわれて堪らぬと、僕は台所に逃げ込むと、食パンをトースターに放り込んだ。

 朝食を急いで食べ終え、出かける支度を済ますと、少し早いが家を出た。

 


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