☆6.転入生
あぁ…。
どうしよ…。
幸子を怒らせちゃった。
今日、部活行きたくない…。
どんな事が起きるんだろ。
幸子とは昨日の夜から一言も話していない。正直、あたしもむかついている。
だって、
「言うな」
なんて一言も言ってないのに、怒ってるのよ。変だよ。
そう思いながら学校までの道を歩いていた。そして、あたしは良いことを思いついた。
「そうだ!あの本を見てみよう!」
あの本というのは、もちろんあの『魔法の本』。魔法をとく呪文が載っているんだ。
「ざまーみろ。幸子め」
あたしはページを開いた。
「あ…れ?」
呪文が載っていない。というよりページが破られている。
もしかして…。
幸子がこんなことしたの?
あたしがこのページを見ることを予想してたの?
「あ。着いちゃった」
そんなことを思っている内に、学校に着いてしまった。
「どうかやな事が起きませんように」
そう祈り、教室に向かう。
教室のドアを開けた。すると、こんな会話が聞こえてきた。
「今日、転入生来るって」
男子だった。
「なんで今頃?」
そう、どうして…。
どうして今頃転入生が来るの?
別に新学期でもないのに。
やな予感がする…。
念のため、『魔法の本』を机の中に入れておく。
何分かたった頃、先生が来た。
「新しい友達だ。自己紹介は自分でな」
その子は頷く。
あ…れ?あの顔何処かで…。
「や、山根さ…幸子です。よろしくお願いします」思い出した。
あの顔…。
あの声…。
あの名前…。
間違いなく幸子だ。
幸子ってあたしと同じ歳で死んでしまったの?
ううん。それはない。だって昨日、姿を見たとき、9、10歳の子供だったもん。
私はさっき机の中に入れておいた、『魔法の本』の目次を見てみる。
あ!これだ!この歳をとる魔法。
幸子はこれを使って…。