☆2.返せない本
「な、何?」
「本をよく見ろ」
「本が喋った〜」
「早く」
「は〜い」
あたしは本の言うとおりにした。そのページを開く。
「えっ」
「やっと分かったか」
「このおまじない、三日後に効くの?!」
「そうだ」
「うそ…」
「なのにお前はよく読まないで、効かないと思ったな」
「はい…」
「罰として、ちょっとした魔法をかけてやる」
「わぁーー」
また本が光った。
「ん?」
何も起っていない。
「なぁーんだ。夢かぁ」
本のそのページを見てみた。
「やっぱり三日後に効きめがあるんじゃん」
深奈は知らない。
さっきのことが夢ではないことを―…
深奈は何も知らずに学校へ向かう。
あの本を持って。
「穂奈美ちゃ〜ん。おはよう〜」
穂奈美というのは深奈の友達。
「おはよう」
「昨日はこの本紹介してくれてありがと!」
穂奈美ちゃんは“えっ”っていう顔であたしを見る。
ざわっ
皆が急に喋りだした。
「ど、どーしたの?穂奈美ちゃん?」
なんか嫌な予感がする。
「深奈、その本はね、たしかあたしが紹介した本の隣に置いてあった本なの」
「なぁーんだ。それだけ?びっくりさせないでよ」
「それだけじゃない!」
「えっ?」
「この本は皆から呪いの本と呼ばれている、魔法の本なの!」
「えっ!」
「それに借りたら、一生返せないんだよ!」
「えっ!!」
「魔法図書館で借りたんでしょ。その本には噂があって、“この本を借りた人が返しにきても、断る”と決めたらしいの」
うそ〜。
じゃあ、あたしはどーすればいいわけ?