☆13.伝わったよね、あたしの気持ち
「席につけー」
「げっ。きたよ」
先生だ。助かったかも。
「助かってよかったじゃん」
穂奈美ちゃんーー…。
そんなこという人じゃなかった。
あやまったら、許してくれるかな。
今、授業中だから喋れないし…。手紙でも書こうかな。
『穂奈美ちゃん。ごめんね…。話せなくて。隠すつもりはなかったんだ』
数分後、返事がきた。
『いいんだ。別に。許してあげる。そのかわりーー…今、土下座しなよ』
……土下座?!今授業中だよ??何考えてんの、穂奈美ちゃん…。全部幸子の魔法のせいだったり…。
「梨っ!高梨!」
「はっはい!」
「ちゃんと聞いてるのか?!」
「すみません」
クスクスと皆が笑う。やだ。恥ずかしい。
「まぁいいか。この問題といてみろ」
えっ!どうしよう。分かんないよ……。バカだ、あたし。
「はい」
あぁー。前に出んのやだなぁ。足ひっかけられそう。下を見ながら歩いていると、前の 子が足を出している。あたしはその足をひょいっととびこえた。
「ごめんね」
といいながら。気がついてよかったーー‥。
ん?何、この問題。こーなって、あーなって。ここが分からん!
「どーした。分からないのか?」
「はい。先生、分かりませ―…」
あたしがいいかけると、ドンっと凄い音がした。
「何、今の音…」
皆がキョロキョロしていると、久保は指で答えを教えてくれた。
「先生!わかりました」
あたしは答えをササッと書く。あ、いいこと思いついた!わざとチョークを落とした。
「あっ…」
チョークを拾うふりして土下座すればいいんだ。
あたしはチョークを拾って、頭を下げた。
頭を上げたときわかったけど、穂奈美ちゃん、凄くびっくりしてた。
あたしはすぐ立って、スカートをパンパンっとはたいた。
あたしの気持ち、
伝わったよね。