☆12.裏切り
「どうして?」
幸子が先輩に告白していた。
「何、高梨は先輩が好きなの?!」
男子の言葉は深奈の耳に入らない。
「無視すんじゃねーよ!」
男子が深奈を殴ろうとしたとき、誰かが男子の手を止めた。
「男が女を殴んじゃねー!」
久保尚人だった。
久保尚人はクラスでもててる男子だ。
「あーら。成功したのね」
穂奈美ちゃんが言った。成功…?もしかして!
深奈は外を見てみた。先輩の顔が赤くなっている。
「じゃあ、帰ってきたら祝ってやるか!」
「やめろって!高梨がかわいそうだろ!」
久保はなんであたしを…?
「あー!分かった。高梨が好きなんだろ!どこがいいの?!」
「そうだよ!高梨のことが好きだよ!俺は。いけないのかよ!」
嘘……。久保があたしの事を……。
バシッ
久保のファンが教科書であたしの頭を叩いて言う。
「くっ久保が何を言おうと、あたしたちはこいつを許さないよーだ」
ガラガラッ
教室のドアが開いた。その時、皆は急に笑顔になった。そしてこう言った。
「山根!おめでとう♪」
幸子は顔を真っ赤にして言う。
「見てたんだ…」
「よかったじゃ〜ん」
「ありがとう。あれ…深奈ちゃんは?」
「アソコに座ってる」
幸子はあたしの方へよってきた。
「ごめんね。深奈ちゃん」
あたしの両手を幸子は両手でギュッと握った。
なんかあやまられてもムカツク。
「放せ!あんたみたいな最低な奴なんかと話したくないよ!」
なんか自分が自分でないみたいだよ…。
「最低なのはお前もだぜ!深奈」
あ…。そっか…。あたし、人の事言えない。穂奈美ちゃんを裏切ったから。
ん?ちょっと待って。
幸子の事で頭がいっぱいで、穂奈美ちゃんに電話やメールができなかったんだよ。その事は言ってないから勘違いされてるんだ。
「あたしは…」
あたしが言いかけたとき、久保以外のクラスメイトが“文句ある?”という目でにらんできた。
もう何を言ってもわかってくれないような気がした。
この作品、まだまだ完結しないような気が…。 『君の笑顔』は後二、三話 くらいですね。両方の作品、よろしくお願いしますm(__)m