蛇の足 二本目(終) 達者でね
おっと、いけないいけない、懐かしい物を見てたら思い出に耽っちまったよ
油紙に包まれた小太刀を見ながら呟いたアタシは紙と筆を取り出した、何も言わず居なくなったら大騒ぎされそうなんで書き置き位は残しておこうと思ったのさ
さて、なんて書こうかね…?
『突然居なくなって済まないねえ、どうしてもやらなきゃいけない事が出来ちまったんで旅に出ることにしたよ
アタシが生きている内に帰って来られるか分からないからね、この店の全てはムラサキに任せるよ』
『皆、自分の役割はしっかり出来てるんだアタシが居なくても大丈夫だと信じてるよ、どの道、近い内に隠居して琴歌酒賦に浸ろうと思ってたんだ、少し早くなるくらい何とも無いだろ?
落ち着いたら文でも書くよ、何時になるか分からないけどね、じゃぁ、元気で居るんだよ』
こんなもんかねぇ、おっと、もう一通書かないとね
『ムラサキへ
この小太刀はアンタのご先祖さんから預かった守り刀だよ、厄避けの祈りが籠ってる
翠衣楼を受け継ぐアンタに持っていてほしいのさ、受け取っておくれよ』
突っ返せない状況で置いていくのに少し気が引けるけど仕方ないね、アサギ、トウヤ、この旅にコイツを連れて行くことは出来ないんだ、アンタ達の子孫を守ってやっておくれよ?
鞘を撫でながら想いを込める、少しでもムラサキの道が穏やかで有るように
ゴソゴソと荷物を纏める、足りない物や有ったほうが良い物が有るから散歩と称して街に出た、そうだよ、アサギとトウヤの墓参りもしておこうかね
共同墓地に並んで有る碑の前で手を合わせた
(アサギ、トウヤ、この歳になって新しい道を見つける事になるとは思わなかったよ、ヤマットを離れちまう事、許しておくれ?)
(3人で始めた翠衣楼はムラサキが立派に継いでくれると思う、アタシはいいからムラサキの事を見守ってやっておくれよ…)
さて、これで思い残す事は無くなったね、仮眠を取ったら出発だよ
待ち合わせの場所に向かうアタシの後ろから駆けてくる足音が聞こえた、走り方のクセでムラサキだとわかっちまう
「姐さん!アスタリス姐さん!」
振り返ると小太刀を胸に抱いて荒い呼吸を落ち着けようとするムラサキが居た
「まったく仕方ないねぇ、せっかく悟られないように出て来たのに」
「コレっ!コレってどういう事なんですかっ!」
残してきた書き置きをヒラヒラさせながら詰め寄って来た
「どうもこうもないよ、書いてある通りさ、アタシは旅に出る、店はアンタが継ぐ」
「でもっ、私じゃとても姐さんの代わりは…んむっ」
ムラサキの唇にアタシの唇を重ねる、長い口吸を終えると唾液が糸を引いた、いい舌使いだ、感じちまったじゃないか
その事を告げ太鼓判押してやる、涙を溢れさせたムラサキに背を向け歩き出す、振り返らないように、決意が鈍らないように
「翠衣楼を頼んだよ、達者でね」
薄れてくる朝霧の中を一歩一歩進む、1度目は1人で飛び出したけど今度は4人だ、あの姫さん達との旅は賑やかだろうねぇ
前の方に佇む3人の影、手を挙げ声を掛ける
「おや?アタシの方が早く着くと思ったんだけどねぇ」
アスタリスの独言(という名の回想) 終劇
アスタリス編、おしまいです
ぺ「いやぁ、前話の感想コーナーでアッザン先生が他の遊女の名前を書かれてましたが冷や汗モノでした」
マヤ「容易に予想出来るネタを入れといてなに言ってんだか」
ぺ「設定としてはアサギとトウヤの子、孫、曾孫、玄孫…と全て対◯忍の名前です、どうやら女系の血筋らしいので」
マヤ「怒られても知らないわよ?で、翠衣楼はどうなるの?」
ぺ「何事もなければ今もヤマットで繁盛してるはずです、因みにムラサキさんは10代目位かな?」
ぺ「予定だと次の話はタマフジの建国記と人材集めなんですが、私にはそっち方面の知識がないのでかなりデタラメなストーリーになりそうです」
マヤ「開き直るな」
ぺ「ノリと勢いで書いてますからね、アン◯ィオみたいなもんです」
マヤ「ドゥーチェ!」
シズル「ドゥーチェ!」
タマフジ「ドゥーチェ!」
アスタリス「ドゥーチェ!」
ぺ「ハッハッハ、みんなアタシについて来い!」




