カクリヨでの過ごし方
「私とマヤは異邦人なのですよ、姫様」
「いほうじん?」
「はい、少しお話致しましたが元々は別世界の存在」「本来は此処に居て良い存在では有りません」
「歴史を左右する大きな戦に加担しないことを条件に居ても良いよって事になってます、おひい様」
「ええ、マヤの言った条件さえ無ければ御屋形様と共に妖獣を退治しに行けたのですが…」二人が悔しさを滲ませる
朝食を済ませた後に話しそびれていた事を告げる、タマフジは神妙に聞き入っていた
「済んでしまったことは仕方有りません、これからの過ごし方を考えましょう」「既にこちらで一日経っておりますので外では百日ほど過ぎております」
「中途半端に戻ったら皇国の人達もおひい様も混乱しそうだから…、思い切って二年はこっちに居ようと思います!」
マヤがそう告げると額にシワを寄せながら頭を捻るタマフジが
「ん〜と、ん〜と…にひゃくねん!」
「正解です!姫様!」良く出来ましたとばかりに頭を撫でつつ褒めちぎる
「・・・、シズルはおひい様の事となるとちょっと残念になる…」
「コホン、なのでおひい様、その間は私達といっぱい遊びましょう!」
「えっ、あそんでいいの?おべんきょうは?」
両手をギュッと握り、喜色を滲ませながらマヤに顔を向けたタマフジが問いかけるとニコリと目を細め
「体をいっぱい使って遊ぶのもお勉強ですよ」「したい事が有ったら言って下さい、何でもしてみましょう!」
屋敷に居た頃は考えられなかった提案に外界の状況を誤魔化された事に気付かない
「あ、でも今日はお家を作らないとダメなんだった」
「おうちつくるの?」
「ええ、いくら暖かいと言っても雨は降ります、びしょ濡れで眠るのはお嫌でしょう?」「雨風を凌げる小さな家は作りたいと思っています、手伝って下さいますか?姫様?」
「タマフジもてつだっていいの?」と問うと頷く二人
万歳をしながらピョンピョンと小さく跳ね「おうちつくる〜♪」とはしゃぐタマフジ
「じゃあ場所を探しに行きましょう、お散歩も兼ねて」
「あ、マヤは適当な木材から湯呑みもどきを作るのが先ですね」
「えっ?」
「しまい忘れて置いてきてしまった罰ですよ」
マヤが散歩に合流したのはかれこれ一時間ほど後になるのだった
今回で一年経過する予定だったのに家だのなんだのが気になって補完話になってしまった、しかもほぼ会話劇だし…
よし、さっさと家を作って一年経過させるぞ(多分…)