蛇の足 二本目 後始末1
「冒険者諸君、該殿、アスタリス殿、此度の件、誠に以って世話になった」
「護国隊の隊長として改めて礼を言う」
アタシ達の目の前で隊長格の武者が深々と頭を下げている、その後ろでは倒した虬の検分が進んでいた
「いや、俺らだけで片をつける事が出来なかったんだ、こっちこそ礼を言いたい」
虬と最初に戦っていたと言う事で何となく代表とされた重戦士が礼を返す
「犠牲になった者達だが、この場で弔うのか?」
「いや、きちんと埋葬してやりたい、済まないが馬を何頭か貸してほしい」
「アサギも早いとこ医師に見せないとならないし」
そういう事なら好きなだけ使ってくれ、との言葉に有難く馬を借りたアタシ達は、検分の手伝いをする冒険者数名を残し、2人の遺骸と共に街に帰還したんだ
・
・
・
街に着いた後、真っ先に治療院に担ぎ込まれた野伏と少し前に預けられた新人をアタシが見舞ったのは2日後だった
戸を叩き入室の許可を得る、どれだけ落ち込んでいるだろうと思った野伏の顔は思ったよりも悪くなかった
いや、むしろ晴れ晴れとしているようにも見える、何が有ったんだろう?
「アサギ?」
「アスタ、来てくれたのね」
自ら茶を淹れようとする野伏を制しアタシが淹れようとすると笑って断られた
「片足が無いだけなのよ、他は動くのだからお茶位は淹れさせて?」
寝台に腰かけたまま二人分の茶を淹れる、少し逡巡したけれど思い切って口に出してみた
「思っていたより全然元気みたいね?2日の間に何かあったの?」
コクリ、と一口飲み下した後、真っすぐにアタシを見据え語り始めた
アサギの一族はヤマットの遥か東方に有る隠れ里に住まう「魔物を狩る技を伝承している一族」であると
幼い頃からその技を叩きこまれたアサギは任務先で偶然見かけた冒険者のパーティーの行動に自分達の有り方に疑問を抱いた、魔物を狩る為に仲間の、自身の安全を度外視する一族
それに比べ冒険者達はどうだ?仲間の不足を補い、庇い成果を出している、小さな棘は1年、2年と経つうちに大きな楔となってアサギの心に食い込み、一族の枷を捨てさせるに至った
追っ手から逃れるために身に着けた野伏としての技術を生かし、レンジャーとして冒険者登録をして各地を巡りヤマットに腰を落ち着けた、後は貴女の知る通りなの、と
「この脚ではもう冒険者を続けられないから引退する事に決めたのよ、決心したらすごく楽になったの」
後悔を感じさせない口調で言うと言葉を続けた
「アスタも何か隠しているでしょう?」
「無理にとは言わないけれど話した方がすっきりすると思うわ、友人の秘密は墓の下まで持って行くわよ?」
野伏の言葉に自分の生い立ちとヤマットに流れ着いた経緯を話すアタシの心の中で何かの歯車が動き出すのを感じたのさ
本日、仕事納めです
4日まで休みですが、することが無い(笑)ので書き上がり次第に次の話を投稿するんじゃないかと思います
良ければ時間の有る時にでも読んでやって下さいませ m(_ _)m




