蛇の足、二本目 続き5
ちょいグロ注意です
左側頭部を2度目の矢が通過すると虬は慌てて頭を低く下げた
(上手い)
注意がそちらに逸れたのを好機とし更に一歩踏み込む、捻じり上げた筋肉を解放し右から袈裟懸けに太刀を振り下ろす
ただの太刀では無い、長さこそ8分程しか無いが倍になろうかという厚み、身幅は3倍にもなる、最早巨大な「鉈」と言える代物である
重戦士はこれを重刃と呼び、幾多の魔物を屠って来た相棒だと言って憚らない
『ガツン』 『ミシリ』 「オォォオッ!」 『ズジャッ』
狙い違わず虬の右口端に吸い込まれた刃は牙の何本かをへし折り顎の骨に阻まれた、それを裂帛の気合をもって振り切るとその勢いのまま回転し、虬の左側へ転がり抜けた
数回転して立ち上がり構えを取る、見ると顎を半開きにし血を滴らせた虬の傷口には刃に塗ってあった毒がしっかりと残っている
気合と共に吐き出した息を吸い込むと不敵に笑う
(もしかしたら本当に倒せちまうかも知れねぇな…)
重戦士の無事を見どどけ安堵する暇もなく次の行動に移る野伏
(アスタの警告通りならコイツはかなり狡猾なヤツだ、同じ事を繰り返していたらすぐに見切られる)
目を、顎を抉られ頭に血が登っている今が好機なのだと分かってはいるが自分の短剣では致命を与えることが出来ない、短弓にしても余程の場所に当てない限り痛打とはならないだろう
ましてや今は虬の注意を引く為に敢えて命中させないよう撃っているのだ
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数度パターンを変え虬を翻弄したが回収出来た矢は残り2本、接近戦を強いられマトモな一撃を食らう訳にはいかない重戦士に至ってはそこかしこに浅く無い傷を負っている
虬は一向に回復の始まらない左目や顎に苛立っていた、小癪な獲物が何かをしたに違いないのだ、ならば自分も…
長い尾が力無く地面に垂れ下がる、顔は重戦士を視界に入れつつも左側を向き、飛んで来るであろう次の矢を警戒している
(好機だ!)右目を狙うべく反対側を目指し最短距離を駆ける
『バキィッ』
左脚に激痛を感じると共に体が宙に浮いた、何が起こったのか理解する前に地面に叩き付けられ短弓が手から離れる
霞む視界の中、辛うじて見えたモノは自分に向かって振り下ろされようとしている虬の尾であった
重戦士の視界に右側に向かって走る野伏の姿が見える、垂れ下がっていた尾が跳ね上がり野伏を弾き飛ばす、最短距離を行く為に近付き過ぎたのだ
「くそっ」
援護するべく走り出した重戦士の目の前で虬の尾が振り下ろされた
『ビチィィィッ』 「んぎぃぃ」
苦痛に耐える訓練をした退魔忍とは言え初撃で左膝を砕かれ、落下の衝撃で朦朧とした意識の中では僅かに動く事が精一杯である、身体への直撃を避けようと生にしがみつく
女の声とは思えぬ悲鳴を上げた野伏の左脚は尾の一撃によって完全に圧壊していた
「アサギっ!」
走りながら重刃を水平に構え速度を増す、常にパーティーを組んでいた訳では無いが気が合い、信頼出来る仲間達が立て続けに倒れたのだ
(刺し違えてでも倒す!)
重戦士を迎え撃つべく体勢を整えようと虬は身じろいだ
読んで情景が浮かぶようにしようとすると私の技量では長文になってしまいます…
アサギさん酷い目にあってしまいます、名前が名前だから仕方ない…か?
加虐癖のある方は(ちょっと)喜んで頂ける内容かと思います




