蛇の足、二本目 続き
話の方向が定まらず何回か書き直しました、アスタリスさんの昔語りです
アタシの名前はアスタリス・・・うん?さっきも同じ事考えてた気がするねぇ
この店で、いや、ヤマットでの最後の客を送ってから小間使いに「自室に籠るからもう客は取らないよ」と告げて旅支度を始めたアタシは衣装箪笥の奥にしまい込んだ昔の装備を引っ張り出していたのさ
とうの昔に捨てた故郷の親が「せめてこれぐらいは持ってお行き」と揃えてくれた加護魔法の掛かった軽鎧、準家宝の「切れ味倍化」と「自己修復」を備えた細剣、旅の途中で偶然手に入れた見た目より容量の多い背嚢…
こいつ等に触れていると思い出すねぇ、100年近く前に故郷を飛び出し各地を転々と旅し、未だ混乱の爪痕が残るヤマットは流れ着いた時分を
都が崩壊するほどの被害は退けたものの狂暴化した魔物が散発的に都を襲い、君帝エイカクを失ったことで老若男女共に希望を見失っているように見えたもんさ、旅暮らしの中で必要に迫られて取った冒険者の資格も有って好意的に迎えられたアタシは暫くの間魔物退治を生業にしていたのさ
そんな中で起きた一つの事柄、それがアタシの方向を決めたと言っても良いんじゃないかと思うよ
その日、アタシは数人の同業者と都から半日程離れた森で魔物の群れを追っていたのさ、5人中4人(アタシも含めてね)は中堅の冒険者で、アタシは何回か組んで同じような仕事をしていたから安心出来ていたのさ
でも、最後の1人は初心者を少し脱したばかりの幼さの残る少年だった
先輩であるアタシ達に色々質問して少しでも役に立とうと必死でね、そんな向上心の有る後輩を邪険に出来るはずもなく教えられる事は全部教えてやり、良い雰囲気だったアタシ達を突然亜竜が襲って来た
亜竜って知ってるかい?『竜種』程は強くはないけれど小さな村位なら壊滅させるほどの強さの『竜もどき』の事さ、有名なのはワームやワイバーンかね?
日も暮れ、川辺に火を起こして休息していたアタシ達は完全に油断してたんだ、追っていた魔物の群れは瓦解させて残りは1~2匹、ワッチを立てて残りは寝ようかって時にそいつは川の中から急襲してきた
最初の攻撃で術師が戦闘不能にされた、しなやかな尾の一撃で飛ばされ木に撃ち付けられて動かなくなった、みんな飛び起きて獲物を手にしたところで弓使いがそいつの顎に捕らえられた
悲鳴と何かを嚙み砕くような音、『ドチャリ』と弓使いの上半身が地面に落ちた時にようやくアタシたちは戦闘準備を整えられたのさ
作中で使っている「ワッチ」本来は「寝ずの番」なのですが、「交代で起きている人」の意味で使ってます
ちょいとテイストの違う文体になってます、アスタリスさんの回想だからだと思って下さい




