傾城の資質? 其の一
社会科見学編、其の二です
余計な時間を費やしたので昼近くになってしまったが、ようやく花街に足を踏み入れた三人
「ここはどんな事をする所なの?」
タマフジの疑問にどう答えるか逡巡し、言葉を選びながら
「そうですね、『寂しい殿方が一夜の夢と温もりを買う場所』と申しておきます」
「?」
年齢的にも経験的にも理解出来ていないタマフジ、マヤが苦笑を浮かべながら
「あのまま何も無ければタマフジ様もそろそろお相手を決めなければならない年頃だったんです、コッチ方面も追々と、ね?」
「??」
益々疑問符が増えるタマフジである
流石にこの時間になると遊郭から帰路へつく男は居ない、客寄せも姿を消し閑散としている通りを所在なさげに歩いていると一際豪奢な造りの娼館の奥から
「おや、珍しい、こんな所を若い女が歩くもんじゃぁないよ」「それとも遊女になりたいのかい?」
少し揶揄いを含んだ口調で声をかけられる、キッと声の主の方向を睨みつけると、歳の頃なら19を過ぎた辺りだろうか?薄化粧を施した色白の美女が姿を表した
「冗談でも止めて下さいませんか?」
シズルが剣呑な気配を漂わせ相手とタマフジの間に立つ、マヤはさり気なく周囲を警戒している
「おや?気に触ったのかい?」「そっちの生え揃ってないようなお嬢ちゃんはともかくアンタは…、良いねぇ」
「半年も勤めればウチの花魁になれるよ?」
隙の無い動きでシズルの間合いに入り込もうとするが当然の如く阻止されている
「ますます良いねぇ、人あしらいも堂に入ったもんだ」
左手首を掴んだシズルの右手を空いている手でワサワサと撫でる
シズルの氣を浴びて尚そのような態度を取れる相手を初めて見るタマフジは瞬きも忘れて行く末を見守っている
スッと半歩下がる女、解放された左手で後れ毛をかき上げると尖った耳が露わになった
「エルフ、ですか…」「珍しいですね、エルフが娼館とは」
「良く言われるよ、アタシは好きなことやってるだけなんだけどねぇ」「身内がお硬い連中ばかりだったもんでその反動なのかねぇ」
「殿方のお硬いのは大歓迎だけどね」
「「フッ」」
唐突な艶笑譚に思わず吹き出してしまう二人、タマフジだけが蚊帳の外だ
「姐さま、何が可笑しかったの?」
「タマフジ様にはまだ早いですよ、これも追々ですね」
問いかけられたマヤが口元をニヤけさせながら答える
「タマフジだって?何処かで聞いた名だね?」
訝しげに女エルフがタマフジを見つめる、内心 (しまった)という気持ちを隠してとぼけるマヤ
「ヤマットでは良く有る名前じゃない?」
「アタシがこの国に根を下ろした頃はまだ厄災の話を代々伝えてる長老衆が居てねぇ」「救国の四聖獣や英雄エイカクの話を良く聞いたもんさ」
「その中に後顧の憂いを慮り姫さんを何処ぞに逃したって話も有ってね…」
マヤの背中を嫌な汗が伝う、シズルは平静を装いつつ視線でマヤを責める
「確か、その姫さんが『タマフジ』って名じゃぁなかったかねぇ…?」「聞いている容姿にそっくりだよ?」
妖艶な笑みを浮かべながら目だけは鋭くタマフジを見つめている
「…、まあいいさ」「アンタ達、ちょっとアタシのお茶に付き合ってもらえないかい?」
「もちろんイヤとは言わないだろう?」
と、半ば強引に娼館の中に引き入れられたのだった
やや長命種だと言うエルフさん、その部分を修正してたらちょいとキャラが変わって来ました(設定としては王国のエルフの里出身の逸れ者)
良い方向に向かうのか、悪い方向に向かうのか?
ぺ「そんな先のことは判らない」
シズル「カサブランカの真似しても渋くないですよ?」
ぺ「…」(イジイジ)
シズル「確か花街編も二話で終わらせる予定でしたよね?」「この分だと無理なのでは?」
ぺ「いやぁ、エルフさんが思ったより良いキャラになったので話を膨らませようなかなぁ、と」
マヤ(あ、コレ収拾がつかなくやるやつだ…)




