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プロローグ的な?

このページを開いてくださった奇特な貴方! 有難うございます

この物語は「のんびり生きていきたいおっさん」様の連載作品「マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる」の本編、及び後書きにインスパイアされたIFの物語です


少しでも気になった方は「マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる」本編をお読みになる事を強くお勧めします!

「武器の予備を忘れるな!」


「具足はしっかり結んでおけ、隙を突かれては目も当てられぬぞ!」


喧騒と熱気に包まれた御所の最上階で静かな別れが行われていた、ヤマット皇国の君帝、エイカク(影核)と皇女のタマフジノヒメ(珠藤姫)である

涙を一杯に溜め、それでも零さぬよう父の顔を見上げる齢6歳の健気な娘を愛おしそうに見つめるエイカクは、涙を拭いてやり目線を合わせるように屈んだ


「タマフジよ、共に居れぬ父を許せ」

「あれはこの大陸に災いをもたらす、我らヤマットの武士もののふも総出でかからねばならぬのだ…」


「ちちうえ、たまふじはごしょでお帰りをおまちしております」


「うむ…、うむ、あの二人の言う事を良く聞くのだぞ」(自分は恐らく帰ってはこれまい…、許せ…)と部屋の入口付近に控えるメイド服姿の二人を見遣った


「「御屋形様…」」


ヤマット皇国では極めて珍しいメイド服に身を包んだ10代後半~20代前半に見える少女達は気遣わし気な眼差しをエイカク達に向けた


「タマフジよ、荷をまとめて来るのだ」


エイカクがそう言い聞かせると「あい」と疑いもせずに自室へ向かうタマフジ


「シズル(静留)、マヤ(魔夜)、タマフジをカクリヨ(幽世)へと連れて行ってはくれまいか?」


「「っ!、それは…、どういった事になるのかを知ってのお言葉ですか?」」


期せずして二人の声がハモる

しばしの沈黙の後、苦悶と逡巡を交えた表情で頷いた


「……、国を纏める者としてでは無く、子を持つ親としての我儘だ」「タマフジには未来を見せてやって欲しい、この通りだ」深々と頭を下げる、本来なら君帝としてはあり得ぬ事だ


「主と逸れこの世界に迷い込んだ私達を拾って下さった恩義を果たします」


「例え何百年後の世でもおひい様が独り立ちするまではお供させて頂きます」


「感謝する、タマフジが一人前になったらこれを渡してやってくれ」礼を述べると小太刀を渡した「母の形見だ」の言葉と共に


「奥方様の…」「拝領致します」


シズルが受け取ると懐へと仕舞い込む


暫く後、言われるがままに荷支度をしたタマフジが現れると再び目線を合わせるように屈んだエイカクは娘を胸に抱く


「シズル、マヤと共に御所から離れた地で暫く暮らしておれ」「戦が終わり平和になったら戻って来るのだぞ」


父の言葉に幼いながらも何か感じるものが有るのだろう、しがみつく腕に力を込め震える声で「ちちうえ、ごぶうんを…」とか細い声を絞り出し顔を胸に押し付ける

抱き締める腕の片方をタマフジの頭に沿わせ、暫し無言で撫でた後、二人のメイドに娘を託したエイカクは百名余の家臣と共に出陣した


一方、二人のメイドと共に都の遥か南方の海に浮かぶ蓬莱島に辿り着いたタマフジノヒメはシズル、マヤが生み出した次元門をくぐりカクリヨに匿われたのだった

このパラレルストーリーを綴ることを快く了承して下さった「のんびり生きていきたいおっさん」様に多大なる感謝を


なお、本文中の用語ですが、実際に有るもの、創造物共に作中のみ通用する意味として使用しております、居ないとは思いますが「こんな使い方しない!」と思われないようにお願い致します


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― 新着の感想 ―
流石、池波殿を愛読されているだけに文章が。とてもあちらのご様子からは良い意味で想像もつきませんです(笑)
アッザン「所々に起用される様々な古風たる言葉、その中で交わされる人物達の会話から…ただの一文ですら作品の情景とキャラ達の様子を読者の脳内に見せてくる構成…。これが「物を書く」と言うものであることをまざ…
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