転生の果てに
「賭けは私が勝ったようだな」
「さては予見の力を使いましたね?」
「何を言う。神は卑怯な手など使わん」
神々が言い合う中、サルバリムは目を覚ました。
「おっ、起きましたか」
「こ、ここは……?」
「神の住まう国だ」
光が満ちた世界にサルバリムはいた。別の神が言う。
「新入りには、まずこれをやってもらいます」
「何を……」
神はサルバリムに触れた。すると途端に暗い世界に連れてこられる。
「壊れないか監視です」空間の真ん中にあったのは、無数の星が煌めく球体だった。「光はあてないこと。世界がびっくりしますからね」
「これをどのくらい……」
「希薄になって再び調整が必要になるまで。大体、一二〇〇億年ぐらいですね」
「一二〇〇億年……」
サルバリムは永遠とも言える長い間、宇宙を監視することとなった。
王、すまない、君の願いを叶えることは出来ない。
ラーサニア、君の能力を貰うよ。
リネールは過去を遡っていた。
私は……、いや、僕はまた一からやり直すんだ。
リネールの姿がアリスタ、ライカ―ルへと変化していく。
ああ、もうこの剣はいらない。ライカ―ルは剣を手放した。
その剣はアロア平原へと落ちていく。
下ではファルナブルとアンデベルグ、ベリエルの三人が対峙していた。
転生の果てに、原初の時代に彼は辿り着いた。再び愛の溢れる暖かな場所に――。
司はパソコンのCTRLキーとSキーを押した。
病室に松葉杖を動かしながら都柚が入ってきた。
「えへへ、来ちゃった」
「丁度、小説が完成したよ」
「ホント? どんなタイトル?」
「『転生の果てに』ってタイトル」
「何か面白そう。じゃあ、私が初めてのファンだね」
司は伸びをして外の景色を見る。電線に止まっている二匹の燕が仲良さそうにしていた。
「じゃあ、都柚ちゃん、リハビリ行こうか」
司にはリハビリが必要なかったが、突然治ると周囲を驚かせるので少しずつ回復している素振りをしていた。パソコンをシャットダウンして車椅子に乗り、二階のリハビリテーションルームへと向かう。松葉杖で少しずつ進む都柚に合わせて、ゆっくりと車椅子を動かす。
「作った作品をコンテストに出そうと思うんだ」
「そう! 賞を貰えると良いね! 旦那さんは小説家か~」
少し気が早い都柚の言葉に、司は柔らかく頷く。
リハビリテーションルームに入るなり、担当が隣に新人のマークを付けた人を紹介してきた。
「佳山さん、本条君、新人が今日から就くことになったから」
隣のトレーナーは会釈した。
「初めまして、佳山さん、そして……アリスタ」
「ラ、ラーサニア!?」
「ええ、よろしく」
アメルダの魂ごと時間を逆行させてしまっていた。
司は演技を忘れ、立ち上がってしまった。




