三分
エルドビスは四人を引き連れて転移した。ちょうど王の前の剣と盾が動いている時だった。
眠りに入った王の前に剣が立ち、その前を盾が防御の構えを見せる。
「バッチリだ!」
謁見の間は意外と狭い。予定通り、リネール以外の四人は耳を押さえた。リネールが駆け、超音速の突きを盾に放つ。防御に最大の攻撃を当てる作戦だった。
だが、リネールの拳が盾に触れた瞬間、リネールの姿が突如として消えた。
「リネール!!」
初っ端から攻撃の切り札を失ってしまった。
「あの盾に触れてはダメだ!」
オルスタが指示を飛ばす。
ランドナが問う。
「どうする!?」
「あの盾を掻い潜って触れることは出来ないか!?」
大柄な盾の動きは遅い。ランドナとエルドビスが走り、盾の向きを攪乱させる。盾の背後では剣を持った女性が突きの構えを見せている。エルドビスが盾に向かいフェイントを入れた時、反対側からランドナが盾の足元を狙う。
その動きに合わせ、剣が突きを繰り出した。ランドナが盾の足に触れた瞬間、彼の背後に盾の幻影が浮かび上がった。だが幻影が浮かび上がるや、剣の突きはランドナを貫いた。的確に心臓を狙った一撃だった。ランドナは貫かれ、浮かび上がった幻影も消える。
リネールは遥か上空三〇〇〇メートルに飛ばされていた。体の硬直がまだ元に戻らない。そのまま時速二〇〇キロで落下していく。
何で私はこんなところに!
着地まで一分弱。そこから三十秒で硬直が戻るが、どこに向かえば良いのかも分からない。
明らかに作戦ミスだ……!
落下していくリネールの目に飛び込んできた物があった。遠くに石が積まれたピラミッドと、顔が人、体がライオンのスフィンクスだった。
なぜこの世界にピラミッドが!!
落ちていく時間のもどかしさも意識の外に飛び出していた。
何故だ! この世界は異世界ではなかったのか!?
「駄目だ、被害が甚大だ!」
オルスタは止むを得ず、手を叩いた。
時間は突入前に戻っていた。
四人はエルドビスに触れた。
「時間だ、行こう!」
再び王の前に五人は現れた。オルスタは指示を飛ばす。
「リネール! 金色の盾であの盾を壊してくれ!」
リネールは駆けた。そして盾を構える大柄な男の前で金色の盾を展開する。分厚い金属の盾が砕け散った。
「そのまま、盾を攻撃だ!」
リネールは超音速の拳を大柄の男に見舞おうとした。破裂音に備え、他の三人は耳を塞ぎ、アメルダだけはリネールの硬直を解くために彼に向かって駆ける。盾はリネールの一撃を食らい、胸に風穴が空いた。
よしっ!
牙城の一角を崩せた。剣の女性がその剣でリネールを突く。リネールは全身を金属と化し、その突きに耐えようとした。だが剣はリネールの身体を易々と貫通し、心臓を貫いた。剣は刺さったままだ。
このままでは、アメルダに直してもらっても動けない!
それを見ていたオルスタは次の指示を出す。
「エルドビス、ランドナ! 剣の身体に触れるんだ!」
リネールの背後から二人が飛び出し、剣の身体を狙う。だが剣は三股に分かれ、左右から狙う二人を貫いた。
「くそっ! 今回もダメか!」
オルスタは再び手を叩いた。
時間は突入前に戻っていた。
四人はエルドビスに触れた。
「時間だ、行こう!」
「待ってくれ!」
オルスタはエルドビスを止めた。転移の準備を始めていた彼は問う。
「……何かあったのか?」
「剣が手強い! ちょっと考えさせてくれ」
「別の日にするか?」
「いや、少しずつ流れがこちらに来ている。やってみよう!」
「剣が私に刺さるように指示してくれる?」
アメルダは、そう申し出た。
「大丈夫なのか? エルドビスの方がまだ可能性はあるが……」
「剣を使えないようにすれば良いんでしょう?」
「ああ、それが一番の策だ。だがどうやって!」
「私、ここ最近の訓練で自分の本当の能力というものが分かってきた気がするの。だから大丈夫!」
「……分かった、それでいこう」
「ラーサニア、気をつけて」
「うん、大丈夫」
再び王の前に五人は現れた。オルスタは指示を飛ばす。
「リネール! 金色の盾であの盾を壊してくれ!」
リネールは駆けた。そして盾を構える大柄な男の前で金色の盾を展開する。分厚い金属の盾が砕け散った。
「そのまま、盾を攻撃だ!」
リネールは超音速の拳を大柄の男に見舞おうとした。破裂音に備え、他の三人は耳を塞ぎ、アメルダだけはリネールの硬直を解くために彼に向かって駆ける。盾はリネールの一撃を食らい、胸に風穴が空いた。
牙城の一角を崩す。剣の女性がその剣でリネールを貫こうとしていた。
「こっちよ!!」
リネールの後ろから飛び出したアメルダは、剣の矛先を誘導した。剣はアメルダを狙う。伸びた剣はアメルダの心臓を貫いたかと思われた。だがアメルダは咄嗟に上半身を捻り、肩にその刃を受けた。痛みに耐えながらもアメルダはその刃を掴む。
そしていつもとは逆のイメージをした。触れたものの時を加速させる。見る見るうちに錆びつき、剣が朽ちていった。
「エルドビス、今だ!」
リネールの背後で待機していたエルドビスは駆けて、剣に触れた。そして剣と共に転移する。
アメルダは刺さっていた錆びた剣を抜き取り、自分の傷を回復していく。その痛みに気を失いそうになるも耐えた。
オルスタは呟く。
「漸く王とご対面だ」




