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転生の果てに  作者: 北丘淳士
リネール
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もう一人の転生者

「リネール、どうしたの? その指」

 五人で能力の組み合わせなどを練習した後、アメルダと二人っきりの時、リネールは小指の事を指摘された。。

 小指を指摘され、リネールはムリスの事を思い出した。それは王への憎しみに変わる。だがそれを表に出さずに答えた。

「……ちょっと事故で」

「私が治してあげるわ」

「いや、欠損したものだから、治らないと思う」

「いいから診せて!」

 リネールは包帯を取り、左手を見せる。その手にアメルダは触れた。彼女は、しばらく触れている。

「あれ? 治らない……!」

「でしょう、治らなくても私は大丈夫だよ」

「いいや、治らないはずがないわ!」彼女は意地になって能力を使う。すると少しずつ切った断片が戻って来た。「ほら!!」

 リネールは、この感覚に覚えがあった。

「ラーサニア……」

 その言葉を放った瞬間にアメルダは手を離した。そして驚嘆の顔でリネールを見る。

「今、何て言ったの?」

「いや、昔の知り合いで同じような能力を持った人がいてね」

「もう一度言って」

「えーっと、ラーサニア」

「ラーサニア? ラーサニア・ケイス?」

「えっ、なんで……」

 二人は、お互いを見つめ合ったまま固まった。しばらく固まったままの二人だったが、口を開いたのはアメルダだった。

「アリスタ・ヴェルデルト……」

 その名前を聞かされた時、リネールは開きっぱなしの口を閉じ唾を飲み込んだ。

「なんでその名前を……」

 再び静寂が二人を包んだ。永遠に長く感じられる。

「転生……、したのか?」

 アメルダはリネールに抱きついた。そして涙声で話し始める。

「アリスタ! アリスタなのね!!」

「……ラーサニア」

「私、ずっと貴方にお礼を言いたかった! また……、また転生して寂しかった!!」

 リネールの胸で慟哭する。

 ああ、ここにも転生して孤独を味わっていた人がいたんだ。

 リネールも涙が零れた。果てしなく続くかと思われた転生の果てに仲間がいたことの安堵と、その事に触れ合える事に。

「アリスタ、もう離さない……」

 今だ涙が止まらないアメルダは、リネールを強く抱きしめて溢す。

「うん……、君が転生してくれて良かった」


「ねぇ私、オルスタに頼まれて今回の作戦に参加することになったんだけど、二人で抜けて生活しない?」

 泣き止んだアメルダはリネールと手を繋いだまま帰宅していた。

「凄く、凄く魅力的な提案だ。私も静かに暮らしたい」

「ねっ、良いでしょう! 結婚して、小さな家でも良いから二人で、おじいちゃんおばあちゃんになるまで子供や孫の面倒を見て」

「でも、私はムリスを取り返さなくてはいけないんだ」

「こっちの家族か誰か?」

「私の孤児院で面倒を見ていた弟みたいな存在なんだ」

「……そうかぁ、でも尚更、今回の作戦、二人で無事に乗り切って戻ってこないとね!」

「うん、もう志半ばで朽ちるのは嫌だ。明るい未来を見てみたい。一緒に」

「ねぇ、一つお願いがあるんだけど」

「何?」

「今日、私の家に泊っていかない?」

 アメルダは上目遣いで問う。

「うん、お邪魔するよ」

 アメルダはリネールの腕にしがみつき、頭を寄せた。


「私はもう三回目の転生なんだ」翌朝、二人はベッドで横になり昔の話をしていた。「最初の名前は、ツカサだ。それはハッキリ覚えている。転生してライカ―ルだったな。そしてアリスタと来てリネールだ」

「そう……、私は二回目。最初はラーニャという名前だった。とても悲しい人生だったのだけは覚えている。初めての転生も何だか悲しかったな。でも貴方が助けてくれた。とても嬉しかったの」

「私たちは、また転生を繰り返すのだろうか」

「……かもしれない。でもまた転生しても貴方を見つけ出すわ」

 アメルダはリネールの胸に頭を預ける。リネールはその頭を優しく抱いた。


 オルスタ率いる反政府組織は交通機関を使い王都まで来ていた。今は窓の外から白い王宮が見える建屋にいる。

「俺は先日、王宮で王に会ってきた」手書きの地図を広げ、エルドビスは指さす。「そして王の目の前に座標を置いてきた。王が眠る時間に合わせて突入することにする」

 一同は頷く。王の側近、剣と盾がどのような妨害をしてくるか、まだ分からない。とりあえず作戦をいくつか決めて、それに向けて練習を積んできた。それを実行に移す時だ。

 時計の針が間もなく王が眠る時間に近づいてくる。皆の心臓が高鳴りつつある。

 四人はエルドビスに触れた。

「時間だ、行こう!」

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