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転生の果てに  作者: 北丘淳士
アリスタ・ヴェルデルト
30/39

絶命

 巨人化したランザは駆け、塔の三階まで上がって来ていた。ちょうどそこの広場でファーメッツと遭遇する。

「貴方は何者ですか? 見たところ貴族ではないようですが」

「私はファーメッツ・アルディバ。修行と戦いが好きな者だ。強い者が登って来るのを待っていた」

「ならば下がっていなさい。王権を手に入れるなんて烏滸(おこ)がましい」

「王権は別にいらない。ただ勝負を挑んで欲しい」

 ファーメッツは刀を抜いた。

 ランザは突進する意思を見せるかのように四足歩行に切り替えた。

 両者が睨み合う。

 襟から覘くファーメッツの胸にはフラムが輝いていた。


「アバスタス!」

 銃撃隊からの攻撃を金色の盾で防ぎながら、アリスタはじりじりと戦況を前に進めていたが、アウデイウスの剣がアバスタスを貫いていた。

 アウデイウスの剣のリカッソにはフラムが嵌め込まれている。

 あれは、フラム!

「痛い……、痛いけど、アリスタ殿の拳の方が気持ち良いわ!」

 アバスタスの傷から、さらに濃く黒い霧が湧出する。

 濃度を増した霧が銃撃隊の口へと入っていく。制御を奪われた銃撃隊が同士討ちを始めた。銃撃隊の流れ弾がアウデイウスの脇腹を掠める。さらに黒い霧はアウデイウスを包もうとしていた。

「うっ、この女!」

 貫いた刃を薙いで、アバスタスの腹部が割かれる。それと同時に黒い霧が収まった。

 くそっ、被害が甚大だ!

 アリスタは倒れていたウォルバーグに近寄る二人を見た。それはファニルカとラーサニアだった。

「ラーサニア!」

 ラーサニアがウォルバーグに触れると、傷が治癒していく。意識が混濁の状態だったウォルバーグは半身を起こし、不思議な顔をしていた。

 ファニルカが連れて来てくれたんだ!

 よそ見をしているアリスタの前にメフィルドが降り立った。

「お留守になってますよ」そのままアリスタを抱きかかえ、空へと飛びあがる。「回復出来ないように今度は一撃で死なせてあげましょう!」

 アリスタを抱きかかえたメフィルドは急上昇を始めた。みるみる高度を上げていく。

 三百メートル程上がった時にメフィルドは地上へと舵を切る。アリスタを地面に叩きつける気だった。

「一番厄介だと思っていた相手が近寄ってくれて良かった……」

「なんですって?」

「一度、実験してみたかったんだよ」アリスタは空いている左手をメフィルドの胸に当てた。「散れ!」

 メフィルドの体内から盾が発生し、血煙を残してメフィルドは肉塊と化した。

 アリスタは、そのまま高速で地面へと叩きつけられようとした。

 これぐらいなら硬質化すれば。

 凄まじい勢いでアリスタは地面に叩きつけられる。間近で大砲が着弾したような音が響いた。

 ラーサニアもいるし、これで一安心だ……。

 アリスタの硬質化が戻るまで時間を要した。そこにラーサニアが駆けてくる。

 アリスタは彼女に笑顔を返した。

 大丈夫……。

 そしてラーサニアは覆いかぶさるようにアリスタを抱いた。みるみる硬直が解けていく。

 これって、なんだか。

 アリスタが分析をしている最中に、彼女の胸から刃が飛び出した。その刃はアリスタをも貫通する。

「がはっ!」

 刃に貫かれたアリスタは喀血した。

「二丁上がりだ」

 アウデイウスの剣が二人の胸を貫いていた。

 それを見たナフラックが叫びながら突進してくる。

「よくもアリスタ様を!!」

 よすんだナフラック……。

 ナフラックの剣は、アウデイウスの剣によって切断された。

 なっ……!

「勇敢は命取りになるぞ!」

 ナフラックの剣を断ち切った返しにアウデイウスはナフラックの胸を狙う。

 だがその剣は、金色の盾に防がれた。

「なんだ、これは……」

 アリスタが最後の力を振り絞って出した盾だった。盾鉾の戦いは盾が勝った。

 アウデイウスは剣を引く。

「主から貰ったその命、大切にするといい」

 ルスタが発砲するも三発の弾丸は金色の盾によって弾かれる。

 アウデイウスは剣を降ろし、笑みだけを残して踵を返した。

「畜生……」

 ナフラックは膝まづき、ルスタは悔しさに地面を殴る。アリスタの絶命と同時に盾は消滅した。

 アウデイウスは悠々と塔の中へと入っていった。

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― 新着の感想 ―
良かった〜! と思ったら え……!∑(°口°๑) 二度あることは三度あると言う……!!! アリスターーー!!!(⸝⸝⸝ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀⸝⸝⸝)
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