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そして新天地へ

 相変わらずコルルは、マンションの上からロケットランチャーを乱射していた。隣にはエイトもいる。


「コルル、エイト! こっちはどうだ?」

「トワ、なんか遅かったじゃない? どうしたの?」


 コルルがロケットランチャーを撃つのを止めて、さっきと同じようにタオルを差し出してくる。


「プロダクトグラウンドイースト支部の軍事部長と一戦やってた。勝ったから問題ないぞ」

「トワさん、マユネーズに勝ったんですか!?」

「あぁ、なんとかな」

「ん? トワなんて言った? マヨネーズ?」


 そのくだりはもう僕がやった。二番煎じだ。


「あーまぁ、マヨネーズでも同じだ。ところで、エイト。他の部署はどんな感じになってる?」


 僕がマユネーズと戦っている間に、何か大きな動きがあったとしてもおかしくはない。


「いや、特に大きな事件などは起きていないですよ。コルルさんのおかげでこちら側の軍が百万を超えたということくらいしか……」

「いや、充分だわっ!」


 百万人解放しても、まだこの周辺だけってことは、プロダクトグラウンドUSA全体だとどれくらいの数になるんだろうか。


「それで、今解放できている奴隷は全体の何パーセントくらいだ?」

「ようやく五パーセントくらいですね」

「まだそんなにいるのかよ」


 怖いな、プロダクトグラウンド。そんな大勢の奴隷を抱えているのか。


「この区画はほとんど解放されたので、少しここから外れたところに案内します。ついてきてください」

「了解!」

「おっけー」


 そのとき、ドォンっと明らかに銃声ではない爆音が聞こえてきた。


「なんだ? 今の音?」

「トワさん、コルルさん! 僕の後へ、早く!」


 僕とコルルが理由もわからないまま、エイトの後ろに移動すると、近くで爆発が起った。


「大丈夫ですか?」


 なんとか寸前でエイトの盾に隠れることができたのか。

 僕がさっきまで立っていた地面を見ると、爆発によって黒く焦げていた。


「危なかった……。さっきのは、こうやって爆弾を撃つことができる兵器なんです。気をつけてください!」


 エイトが腕の十字を解除すると、前から黒煙が流れてきた。


「分かった。今の音がなったら注意しておくよ」

「じゃあ行きましょう。盾に乗ってください」

「盾に、乗る?」


 盾という名詞に、乗るなんて動詞は普通つかないんだが。


「『盾』の異能は、ただ攻撃を防ぐだけの異能ではないんです。地面からの重力を防ぐことで、盾を使って空も飛べるようになります」

「うーんなんかよく分からないけど、乗るぞコルル!」


 僕とコルルは、目の前にできた透明な盾に足を乗せた。

 乗った瞬間ふわっと沈み込んだかと思うと、また元通りに戻った。海に浮かぶボートに乗った気分だ。


「スピード出ますからね。しっかり掴まっておいてください」


 そう言い終わらないうちに、僕たちが乗っている盾がグンっと持ち上がった。そのまま空中を滑るように、盾はどんどんスピードを上げていく。


「いやっ、ちょ速いってッ!」


 風が凄すぎて前なんて向いていられない。ジェットコースターなんて比じゃないほどのスピードと暴風。

 ギュッと盾の縁を握りしめながら、振り落とされないように耐えるだけで精一杯だった。

 十分ほど耐え続けて、ようやくスピードが緩くなってきた。


「降りますね」


 身体中の液体が逆流しそうな勢いで、盾は地面に着陸した。


「うぅあ……」

「大丈夫か、コルル? 吐きそうな顔だが」

「酔った。気持ち悪い……」


 流石に僕もこれにはこたえた。乗り物酔いはしたことがなかったが、そのときの感覚が分かった気がする。


「まぁ初めて乗るとそうなりますよね……」


 こいつ、ぶん殴ってやりたい。


「エイト……ここは、どこなんだ?」

「ここは、さっきの市街地から三百キロほど離れた農地区画です」


 三百キロか。ここまで来ると流石に戦場の音は聞こえてこないみたいだ。さっきまでの轟音とは裏腹に、ここはしんと静まり返っている。


「農地区画?」


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