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魔法の約束  作者: なが
17/40

17・学院生活

帰って来た学院、日常に少しプラスな美味しい日々を演出するナイト


ニッカの魔法で更に楽しみが増えていく

魔法の約束17



学院生活


ようやくモルテナ領から帰って来たナイト達。


学院の教室に行くと、もう既にシルバーは帰ってきていた。


「お帰り、ナイト君!モルテナはどうだった?」

「ただいま。海の幸がとても美味しくて、海辺のきれいな街だったよ。君も来れば良かったのに」

「俺は生家に待っている人が多いんだ。なるべく帰ってあげたいからね」


「今度はシルバー君の()()()()にお邪魔するよ。でも今は寒いんだろ?」

「そうでもないよ。一定以下の低温になると専用の暮らしになるから、部屋の中ではシャツ一枚だしね」


「では何時(いつ)にするか相談しよう。今回まだ帰ったばかりだから、もう少し時間をおこうと思うんだ」

「そうだね、僕も北から帰って来たばかりだし」


教室で話していると、他の三人も登校してきた。


「「「おはよう!」」」


「お土産ではないけど・・・連れてきちゃった」

ダイアナの腕にはカッツが抱かれ、不安そうにキョロキョロしている。


「寮に残して来ようとしたのだけど、付いて来たがって仕方が無いの」

環境が余りにも変わった為、どうすごして良いか判らず、

ナイトに指示をもらいに来たカッツだった。


「にゃー」と鳴くと、ナイトの胸に飛び込んでくる。

「この猫は持周(もちまわ)りで面倒を見ないか?」

ナイトが提案すると二人は賛成する。

「そうよね。ずっと面倒見るのは負担が大きいからね」

「では、今日は僕が連れて帰るよ」

「お願いね!ナイト君」


安心したのか、カッツは寝てしまう。ナイトは教室のクッションにそっと置いた。


「みんな、おはよう!今日から通常授業だ」

張り切って教室に入って来た担任は、ご機嫌な様子で話す。今回は、モルテナ行きで特別手当を貰い機嫌が良い。


このクラス担任は()()()だった。


「当面の課題として、何か提案はないか?」

「もう少ししたら、シルバー君の招待を受けようと思います」

「そうだな、まだ帰ったばかりだから、

何か課題を一つこなしてからが良いだろう」


「これまでのSクラスは、どんな課題をこなしたんですか?」

「ダンジョン攻略とか、魔獣討伐なんかが一般的だな」

「学生でそんな危険な事をするんですか?」

「だから、Sクラスなんだ!そして、課題はそのクラスによって大きく違うんだ」


「では、もう少し各人、考えてみましょう。」とダイアナ

「うん、本日はこれで終了にしようか」

ケント先生は、あっさり終わりの挨拶をして出ていった。


カッツが目覚めて擦り寄ってくる。

抱き上げて撫でてやると喉をゴロゴロ鳴らす。


其れからナイトは、寮の部屋でカッツと話す。

「お前は魔法を分けられたそうだが、どんな魔法を使えるの?」

カッツは、いきなり立ち上がり、胸を張ると

「はい、一つは念感です。ご主人様と意思や感覚の共有が出来ます」

「念話は他の者ともしているけど、感覚の共有って?」

「視覚でしてみますね。最初は目を閉じて下さい」

目を閉じると、下から見上げられたナイトがいた。

「慣れないうちは、感覚を一つずつ共有して行きます」

「共有出来る感覚は?」

「見る、嗅ぐ、舐める、聞く、触る、いわゆる5感ですね」

次に周りの臭いが強烈に感じられる。窓から風に乗って色々な臭いがする。

「舐めるは味覚の共有ですが、コレは美味しい食事と有害物の判別に使います」

「それは今は良いね。聞くは?」

「人には聞こえない音が聞き取れます。たとえば、、、」

部屋の周りの音が聞こえる。隣の部屋の会話も聞き取れる。

「何だか盗み聞きしてるみたいだから、コレも良いよ」


「見る事が出来ない時には、便利ですよ」


「つまり、カッツの位置からの感覚と、各能力の強化になるんだね」

「その通りです。一緒にいる時は視覚以外、別に行動している時は視覚が主に役に立ちます」


カッツは窓から外に出る。するとカメラを持って移動する様に、視点が次々と切り替わる。カッツの感覚が感じられて、猫になったようだった。


正に、移動する高性能センサーであった。


ナイトにとってコレは、一種の有益な情報源となる。

<カッツ!これからの活躍、期待しているよ>

<はい、ナイト様、ご期待下さい!カッツは頑張ります>


屋根の上から見渡す景色を、堪能するナイトだった。



久しぶりの寮で食事を取る。今日は4階のAクラスの食堂を使った。メニューは日替わり定食で、パン、スープ、肉野菜炒めだ。

「この料理はかなり美味しいけど、和食は無いんだね」

「和食って何ですか?」

「魚を主体にライスを添えた物だよ」

「魚料理が好きなんですね、ナイト様は」

「そうだ!今度の課題は和食にしないか?」

「食事の課題って?」

出汁(だし)を取って作るんだ。美味しいよ!」

「料理なんてしたことが無いんですけど・・・」

「それは王女様とは無縁だよね。でも課題の一環としての料理は有りじゃないか?」

急に和食が食べたくなった、ナイトであった。




挿絵(By みてみん)

「先生!今日から和食を作ってみたいと思います。

教材の用意をお願いしたいのですが?」


担任は驚いた顔で

「それは変わった課題だね。必要な物を言ってくれるか?」

「昆布、鰹節、それと椎茸ですね」

「昆布は、乾燥したものがある。しかし椎茸は干した物になるが構わないか?」

「それで結構です」


「で、鰹節って何だね?聞いたことがない」

「魚の切り身を乾燥させたものです」

「市場で探してくると良い。買い出しも課題の一環だね」


「市場で買い物なんて初めてです。教えて下さいね、ナイト様」とティアナ。


市場に来たナイト達一行。

挿絵(By みてみん)

「市場なんてめったに見ないです。色んな食材が並んでいますね」

ダイアナが辺りを興味深げにキョロキョロ見回す。

ティアナは早速、手近の店に走り寄っていく。

「ナイト君、これは何を売っているのですか?」

「それは貝ひもと言います。

貝の身の周りにある、筋肉を切り取って紐の様にしたものだよ」

「貝の筋肉ですか?面白いですね。美味しいのですか?」

「お酒のつまみですね。甘くて美味しいですが、味が濃いですよ」

クラスのみんなは、貝紐を買っていった。



魚の切り身を探していたナイトは、カツオを数匹購入する。

「これを使って鰹節を作ります。これから帰って試作に取り掛かりましょう」


ナイトは、買い付けた鰹を、持ってきた箱に入れてから収納する。

周りからは解らない、鮮度優先のナイトの裏技である。


鰹節の作り方は、以前ネットで観ていた為、簡単に作れる。

魔法を使い、数週間かかる工程を短縮していく。


先ず解体、ルシエルの魔法で一瞬に身を切り分ける。

そしてタンパク質を凝固させる為、熱湯で茹でる。


次に、切り身を燻製にする為、燻製器を作ってみんなで作業する。


「時間がかかる物ですね。

普段食べている食事も、

こうやって料理人が手間暇をかけて、作っているのですね」

「料理人の苦労を考えながら、感謝して食事する事も必要かもしれませんね」


いつもの食事の陰にも、料理人の努力がある事を実感する、姫達だった。


挿絵(By みてみん)

燻製が終わった鰹節を、さらに魔法で仕上げていく。

燻製されて黒くなった表面を削り取っていく。

芯の部分、いわゆる鰹節が出来上がる。

ただ、これも燻製の器械の中でする為、外からは解らない。


出来上がった鰹節を教室で、担任に披露する。

「これで和食を作っていきます、よろしいですか?」

「どこで作るんだ?」

するとダイアナが嬉しそうに

「先日の貝ひも、お父様に差し上げたら好評でした。

ナイト様と授業で和食を作ると言いましたら、

城の厨房を提供して頂きました。そちらで作りませんか?」

と提案する。


「城の厨房!! 門外不出の料理手法の塊じゃないですか!」

ルシエルが興奮して叫ぶ。


「城の総料理長を呼んでありますの。御紹介しますね!」

体格の大きな40代の男が教室に入ってくる。

「料理人のリーフ=アルデと申します。姫様、よろしくお願いいたします」

丁寧に礼をして控える。


「リーフ、今回の料理はナイト様が作ります。和食と言って、ナイト様独自の料理です」

「和食とは何でしょう?聞いたことが御座いません」

「それは、ナイト様から聞いてください」

ダイアナ達も今一、把握できていない。ただ、「美味しい」とだけ理解している。


「S クラス、ナイト=アルガーシスと申します。よろしく願いいたします」

「とんでもナイトのナイト卿ですね。お噂はかねがね伺っております。


料理にも造詣が深いとは、料理人として興味が尽きません」

彼にとって、料理が全てだった。

家庭も金も、地位さえも興味が無かった。

そんな彼が新しい料理の話に、食いつかない訳が無かった。


「では、厨房へ」興奮気味にナイトを誘うリーフに

「今回の料理について、少しお話ししましょう」

とナイト



「和食とは魚を主体とした料理です。その基本は出汁(だし)にあります。

用意した食材は、出汁を取る為に使います。

その技法が和食の基本であり、料理手法の奥義です。


出汁には三種類あり、その組み合わせで味を作っていきます

素材はそれぞれ昆布、鰹節、それと椎茸ですね。

後は調理場で説明します」

それだけ言い切ると、厨房に向かう。


厨房にて

「昆布を水で丁寧に洗います。表面の汚れを落として雑味が入るのを防ぐためです」

昆布を洗っていくナイト

「次にお湯を沸かします。昆布は水から入れていきます。

鍋が沸騰する直前に、昆布を取り出します」

昆布だしが出来ると、厨房の料理人とクラスの生徒で味見をする。

「これは・・・このような澄んだ味は初めてです」

驚くリーフと料理人達。

これが、一つ目の出汁で、これに二つ目の出汁を足すことで、

味が何倍にも美味しくなります。


「次は鰹節。スープにする為、薄く削ります。

削った鰹節を先ほどの昆布出汁(だし)に入れ、

沸騰させることなく静かに10分ほど置きます。

それを布で濾して完成です」


スープをお椀に入れ、皆で味わう。

「これは、なんて上品で深い味なんだ!こんな味、初めてだ!」

涙を流して感動する大げさなリーフ。

他の人たちも「うんうん」頷いている。

「これを使ってスープを作っていきます。お吸い物と言います」

出汁を鍋に入れて沸騰させる。

「卵ありますか?」

「これを使って下さい」

「先ほどの沸騰させた出汁を、火を落としてから卵を溶き入れます。

そして蓋をしておくと、卵がふっくらした吸い物が出来るのです」

挿絵(By みてみん)

「こんなフワフワ卵スープ、見たことがありません!」

器によそって出すと、皆感動している。


「最後に乾燥椎茸は、水でもどして一日置きます。

煮物を作る時に使ってみてください」

ここまでで、課題としての料理は終わった。


「リーフさん、これらの出汁を使い分けて、

今までの料理に使ってみてください」

ナイトの言葉に、その手を両手で握り

「ナイト卿、これは料理の革命です。新しい境地が開けるでしょう!

有難う御座いました」


リーフは感謝して、創作料理に取り掛かった。

「彼はああなると、厨房に(こも)って何日も出てきません。

新しい料理が完成したら、ぜひご賞味ください」


料理人の一人が挨拶した。




それから数週間たって、ナイトは城に呼び出された。

応接室でお菓子とお茶をよばれていると、いきなり陛下が入ってきて

「ナイト卿、ありがとう!」

と礼を言う。

「どうされたのですか?何か陛下に感謝される事でもしましたか?」

驚いた声で返す。


「城の料理が、考えられぬほど美味しくなったのじゃ。

特にたまごスープは絶品じゃ!

リーフが卿のお陰だと言っておった」

なるほど、と納得した。


「今日はその料理を食べてみてくれ!そして又助言をしてほしい」

「畏まりました。精一杯、味見させて頂きます」



とんでもナイトの面目躍如であった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


モルテナ領の特産品


ナイトが城の厨房でリーフに出汁(だし)を伝えてから、

オットー=モルテナは領で出汁を伝えた。


モルテナ領では、昆布出汁についてはすでに食事で使われていたが、

他の出汁を組み合わせることで、新しい味が作り出されていく。


「昆布と鰹節の出汁を掛け合わせたスープと、煮物などには椎茸で取った出汁を使う。

それぞれの作り方は説明しよう」


出汁を組み合わせることで、

数倍になった味の良さと深さは、

領邸の料理人を驚かせた。


「これは・・・今までの料理とは別物になりますね。

これまで作った料理の改良版と、出汁を使った独自の料理が出来ます。


モルテナ領邸発祥の料理として、モルテナから広めましょう」


興奮した料理人にオットーが

「この出汁を使った料理は、ナイト君が王都の城の厨房で作らせたのが伝わったものだ。

城ではナイト料理と呼んでいるんだ。

だから命名をナイト料理として、広めねばならない」


「ナイト料理ですか・・・

先日来られたご友人の、ナイト卿由来ですね」


「そうだ!彼の考案なんだ。

そして、この領で使う許可をもらってきたので、モルテナ領の役に立てようと思う」


「門外不出にはしないのだな。

あまりにも効果が大きいので、秘匿(ひとく)するものと思っておった」

いいえ、とオットーが父に進言する。

「父上、この素材は我が領で製造できます。

モルテナ特産の鰹節と昆布で、新しい商品の提供をしていきましょう。

その為、出汁の使用法については公表していきます。


ナイト君から、最も効果的な出汁の製法も教わってきました。


これから料理長と研究していこうと思います」

「あの、とんでもナイト卿の手法だ。うまく使っていくようにな。

領の特産品も期待できそうだな」


モルテナの領主主導で、特産品の開発が始まる。

モルテナの特産品は、ナイト料理になくては成らないものになっていった。



やがて、領都の出汁需要は大きくなって行き、モルテナの経済に多大に寄与していった。




学院での日常から、北の大地に向け出発するとんでもナイト


シルバーの故郷で無双します

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