第四章☆毒蛇
「なんだ、この世界は?」
デルムントは顔をしかめた。
金銀財宝、宝石に王冠、etc.
それ以外なにも見当たらないのだ。延々とそういう財宝が積み重ねられて、それだけの世界のようだった。
「私のコレクションどう思う?」
デルムントの背後にリンカが現れて聞いた。
「悪趣味だな」
「ふん。じゃあ、どんな世界がいいと思うの?」
「人々が自由に生きている世界。衣食住、本、自然……」
「そう。やっぱりあなたとは相容れないかな」
シュッ。
変な音がした。
足下を見ると、デルムントの周囲に毒蛇が複数鎌首をもたげていた。
シャアアア!
リンカの合図とともに、蛇たちが一斉にデルムントに襲いかかった。
「!」
リンカはデルムントの周囲の財宝と毒蛇を入れ替えてこんな芸当をしてみせたのだ。
「きゃああ!」
一瞬でデルムントは自分とリンカを入れ替えた。
リンカは自分が放った蛇に噛まれ、信じられない思いで絶命した。
もう少し穏便に話し合えたなら、こんなことにはならなかっただろうが、命を狙ったリンカをデルムントは許さなかった。
「消えろ!」
蛇を別の時空へとばす。
リンカの右手首に対の腕輪を見つけて、デルムントはそれを外すと、自分の左手首に二個の腕輪をはめた。
「みちるに届けないとな」
腕輪は揃って嬉しそうに輝いていた。