ローズ・ジプシール ①
九聖光選抜大会。通称『九光祭』の開催が残り一周間を切ったある日の王都『アルベルト』ギルド本部。
「たのも!!!エドワード・ユグドラから依頼を受けてやって来た!私の名は『ローズ・ジプシール』と申す」
ザワザワザワザワ
「な、何だ?いきなり大声でよう!うるせぇな?!」
「ん?ジプシールだと?‥‥‥‥西の大地の魔法族が何で王都に来たんだ?」
「魔女ッ娘かよ‥‥‥‥俺は和国の娘が好みだから、諦めてくれ嬢ちゃん」
「何を諦めるんだよ!」
荒くれ者の冒険者達は魔法装備を身に纏った少女、ローズ・ジプシールを遠巻きに観察し、各々、好きに感想を述べあっていた。
「‥‥‥‥んー?可笑しい。冒険者ギルドに顔を出せば後はへんてこりんな、少女メイドが案内してくれるとかエドワードは言ってたんだけど」
「誰がへんてこりんメイドですか!ローズさん」
そう言って、ローズの前に登場したの王都『アルベルト』を代表する。ギルマス事。アレイ・ビクトリアだった。
「その声?その体型は‥‥幼女ギルマス!!」
ドスッ!
「今なんと?おっしゃいました?ローズさん?」
「ぐえぇ?‥‥‥アレイギルドマスター‥‥‥‥お久しぶり」
「はい。お久しぶりです。貴女がここに現れたということは彼に唆されたということでしょうか?」
「唆された?私はここに来れば衣食住の全てが手に入ると言われたから、パーティー仲間だったオールとサイカを連れてここまで来たんだけど?」
「飯くれ~」
「仕事下さい~」
「百切りのオールさんと拳王サイカさんじゃないですか?まさか彼らも?」
「そうそう、この最近の魔法ブームで仕事も名声も失った哀れな者達」
「「お前もだろうが!!ふざけんな!!」」
「はぁ?私は選抜大会に出るっていう約束があるの?穀潰しのあんたらと一緒にしないで」
「はぁ?はこっちの台詞だ!ユグドラの奴にちょっと言いように言われたら、こんな遠いところまで来やがって!今夜の寝床は何処にするんだよ?また、モンスターの森で野宿か?」
「そうだ!そうだ!自分だけ木の上で寝て安全を確保しやがって。高い所に登れない俺達の事も考えろ!!」
「おいおい、オールにサイカまで居やがるぞ!何なんだ?あの面子は」
「あれじゃないのか?新しい九聖光を決める大会か何かの?それに出る為に集まって来たんだろう?」
「あー、だからか?やたらと地方の冒険者達が宿やホテルに泊まってんのはお陰で俺は馬小屋生活だぜ!」
「俺もだ!ワハハハ!」
「‥‥‥‥皆さん。少し騒がしいですよ!雑談してないでギルドから依頼されたヌメヌメ池の調査に行って来て下さい。はい!行く!」
「おっと、ロリババが切れる前に出るぞ!お前ら!」
「「「「おお!!!」」」」
「誰がロリババですか?サブギルさん?ってもういらっしゃらない‥‥‥‥」
「ロリババなの?」
バシッ!
「ぐえぇ?」
「違います。とりあえず、ここでは何なので食堂に行きましょう。食べながら、彼との話を聞かせて下さい」
アレイギルドマスターはそう言って無一文の3人を食堂えと案内した。




